糖尿病と診断されてしまっても、生命保険や医療保険に加入できる場合があります。しかし、一般的な保険に入るのは難しく「引受基準緩和型医療保険」や「無選択型保険」といった審査の緩いタイプを検討する必要があります。
この記事では、糖尿病になったら生命保険はどうなるのか、保障内容や保険金がおりやすいタイプについて解説します。
糖尿病になったら生命保険がどうなるのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
糖尿病になったらおりる生命保険一覧・種類
糖尿病になったことが原因で入院や手術が必要になったり仕事ができなくなったりした場合には、保険金や給付金が支払われます。
怪我・病気の一例
対象の生命保険及び特約
入院が必要になった
医療保険
仕事ができなくなった
就業不能保険
両目の視力を失った
医療保険・就業不能保険等の高度障害保険金
人工透析治療を開始した
医療保険の特定生活習慣病保障特約
糖尿病患者の平均入院日数は約30.6日
糖尿病になったらはさまざまな理由で入院しますが、その平均は約30.6日という数字になっています。
年代
糖尿病患者の平均入院日数
平均
約30.6日
0~14歳
約16.7日
15~34歳
約11.5日
35~64歳
約15.6日
65~69歳
約40.7日
70歳~
約44.8日
参考:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査」
糖尿病は年齢が低いほど入院日数が短い傾向にありますが、年齢が高くなると多くの合併症が起こりやすくなり、入院日数が伸びる傾向があります。
糖尿病になったら生命保険には入れない?
糖尿病は1度かかると一生治らない病気なので、普通の生命保険には入りにくくなります。同じように、働けなくなったときに保障をする就業不能保険も加入が難しいでしょう。
ただし、一般的な生命保険に加入できないからといってあきらめる必要はありません。というのも、特定部位不担保という特別な条件で加入できることがあるからです。
<特定部位不担保とは>
保険契約者が了承した上で、保険会社が決めた部分に関する病気や、その病気のための入院・手術にはお金が出ないこと
参考:オリックス生命保険「特定疾病・特定部位不担保【とくていしっぺい・とくていぶいふたんぽ】」
ここからは、以下の項目について詳しく解説します。
- 糖尿病になっても加入できる生命保険は?
- 人工透析が必要でも保険に加入できる?
糖尿病と生命保険の関係性について、理解を深めておきましょう。
糖尿病になっても加入できる生命保険は?
一般的な生命保険には加入できなくとも、糖尿病の方でも保険に入る方法はあります。引受基準緩和型や無選択型という特別な医療保険なら、糖尿病の既往歴があっても加入できる可能性が高いです。
引受基準緩和型保険|少ない告知で契約できる
引受基準緩和型保険とは、2〜3項目ほどの少ない告知で契約できるタイプの保険です。一般的な保険よりも告知項目が簡素で、契約の難易度が低いことで知られています。
しかし、給付金や保険金が一定期間減額される商品があるほか、通常の医療保険に比べると保険料が高めになることもあります。そのため、契約する前に商品内容のチェックを入念に行うことが重要です。
糖尿病やその他の病気で一般的な保険に加入できない場合は、引受基準緩和型保険を検討・相談してみてください。
無選択型保険|無告知で契約できる
無選択型保険とは、病気の有無や内容を告げたり、医者に診てもらったりする必要がない保険のことです。他の保険に加入できないような病気や高齢の方に向けて提供されています。一般の保険よりも加入しやすいのが最大の特徴です。
その代わり、保険料が高い上に保障内容は限られることが多いため、注意が必要です。保険金や給付金の支払いが行われない免責事項が設定されているため、契約する前にしっかりと確認して、しっかりとお金を受け取れるようにしておきましょう。
人工透析が必要でも保険に加入できる?
糖尿病の進行で人工透析を必要としていても、シャント手術の後に外来で人工透析治療を受けていれば、引受基準緩和型医療保険に加入できる可能性があります。
ただし、シャント手術経過後に入院や手術を受けたら、一定期間は加入できない可能性が高まります。保険の加入条件については、保険会社や保険代理店に問い合わせてみましょう。
参考:MediPress「透析をしていても民間保険に入れますか?」
糖尿病になったら保険に入るのでは遅い?将来に備える生命保険とは
現在は糖尿病ではないとしても、自分が入っている保険で糖尿病になったらどんな保障が受けられるのか、どんな対策ができるのかを把握しておくことは重要です。
- 生活習慣病に対応する特約
- 疾病障害特約
- 所得保障保険
以下では、一般的な2種類の特約と、収入が減っても安心できる保険について紹介します。
生活習慣病に対応する特約
以下のような生活習慣病によって入院や手術を必要とした場合に、入院給付金や手術給付金が支払われる特約があります。
- がん
- 脳血管疾患
- 心疾患
- 高血圧性疾患
- 糖尿病
参考:公益社団法人 生命保険文化センター「医療保障に関するQ&A」
具体的な保障額については保険会社によって異なるため、気になる方はチェックしてみてください。
疾病障害特約
疾病障害特約とは、病気が原因で保険会社が定める障害状態に陥った場合に給付金をもらえる特約です。糖尿病でインスリン治療を行っていて、保険会社の障害状態の基準に合致した場合には給付金が支払われます。
また、合併症で腎機能が衰えて人工透析を必要とする障害状態になった場合にも給付金をもらうことが可能です。
所得保障保険
所得保障保険は、病気や怪我などで仕事ができなくなった場合、仕事ができない期間の収入保障を目的とした保険です。
糖尿病が悪化して働けなくなり、治療や療養によって所得が減少した場合の生活の助けとして活用できます。
サラリーマンの方で、病気になった時の保障を会社からもらえる場合には必要ありません。ただし、サラリーマンでも会社からの保障がない・少ない場合や、自営業の方で保障がもらえない可能性が高い場合には加入を検討しましょう。
そもそも糖尿病とはどんな病気?
糖尿病は、血液に含まれるブドウ糖が多くなりすぎて血糖値が上昇することで、免疫力が低くなったり、さまざまな合併症が発生したりする病気です。
糖尿病の概要について、以下の3つの項目に分けて詳しく解説します。
- 3つの主な糖尿病の分類
- 糖尿病の合併症
- 糖尿病の患者は増え続けている
それぞれについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
3つの主な糖尿病の分類
糖尿病には、インスリンの働きに関する異常によって2つの型に分けられますが、そのうちのほとんどがⅡ型糖尿病です。
Ⅰ型糖尿病
インスリンというホルモンを作る器官である膵臓(すいぞう)の働きが低下し、インスリンがほとんど分泌されなくなることで、血液に含まれる糖分が多くなり、血糖値が上昇する病気です。
インスリンを作る細胞が破壊されてしまうため、自分のインスリンでは足りなくなり、インスリン注射で補充する治療が必要になります。
Ⅱ型糖尿病
Ⅱ型糖尿病はインスリンの分泌が低下したり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる病気です。
遺伝的な要素が関係しており、親や兄弟に糖尿病の人がいると発症しやすいとされています。また、食事の量や質、運動量やストレスなどの生活習慣も影響します。
妊娠糖尿病
妊娠中に血糖値の調節がうまくいかなくなってしまう、まだ糖尿病には至っていない糖代謝異常のことです。胎盤が作るホルモンの作用でインスリンの効果が弱まり、インスリンが不足する状態になります。
主に食事の見直しや体重の管理で血糖値を安定させ、場合によってはインスリン注射で治療します。
糖尿病の合併症
血糖値が高いままになると、全身の細かい血管や神経に損傷が及びます。その影響で、糖尿病患者に多い病気として、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害が挙げられます。これらは糖尿病の「三大合併症」と呼ばれています。
糖尿病の患者は増え続けている
日本では、糖尿病にかかっている人がどんどん増えています。20歳以上の日本人男性の5人に1人、日本人女性の10人に1人は糖尿病の危険性が高いと言われているのが現状です。
糖尿病は医師の診察があるまで気づきにくい病気なので、実際にはもっと多くの人が糖尿病と隣り合わせになっているかもしれません。
糖尿病の人が知っておきたい保険の選び方
糖尿病の人が保険に加入するときは、自分に合った保険を見つけるために、「加入しやすさ」と「自分のリスク」という2つの観点が重要です。糖尿病の人が保険を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。
- 自己年齢に合わせて保険を選ぶ
- 保障範囲で保険を選ぶ
- 保険料・保障範囲のバランスで選ぶ
上記を踏まえて保険を選べば、後悔を未然に防ぎやすくなるでしょう。
自己年齢に合わせて保険を選ぶ
糖尿病は年齢によってリスクが変わります。30代や40代で発症した場合、早めに治療すれば入院日数が少なく済むことが多いです。一時的にお金が必要なケースには、一時金がもらえる保険を選ぶ利用するのがおすすめとなります。
逆に、高齢になると入院日数が伸びる可能性が高くなります。年齢を重ねれば重ねるほど、長期間の入院費用に対応できる保険が必要です。
保障範囲で保険を選ぶ
先述した通り、糖尿病の入院は平均で約30.6日と長めです。もちろん入院日数は年齢によって異なりますが、糖尿病に対する備えとして、自分の年齢や健康状態に合わせて医療保険を選ぶことが大切です。
糖尿病の治療には、生活習慣を見直したり血糖値をチェックしたりすることが必要で、退院しても通院が必要なケースがほとんど。
入院や手術の費用を補う入院給付金や手術給付金だけでなく、退院後の通院の費用もカバーする通院給付金のある保険なら、安心感が違います。
早めに治療を受けて、合併症の発生を防ぎましょう。
保険料・保障範囲のバランスで選ぶ
生命保険や医療保険には、健康祝金特約などさまざまなオプションがあります。オプションを増やせば保障の範囲も広くなり安心できますが、保険料も上がることを忘れないでください。
自分のライフスタイルや希望に保障内容が適しているか、保険料は予算に合っているかも確かめるようにしましょう。
糖尿病になったらチェックしておきたい保険の注意点
糖尿病は持病扱いとなることから、保険加入前後において注意すべき点が2つあります。
- 糖尿病の経験は正直に告知する
- 支払削減期間について
知らない状態ではトラブルに発展する可能性もあるため、必ずおさえておきましょう。
糖尿病の経験は正直に告知する
糖尿病の方が普通の生命保険や医療保険に入りたいと思っても、糖尿病の経験を隠して申し込みをするとどうなるでしょうか。
生命保険に加入する際は、過去にかかった病気や今の健康状態、仕事の内容などを保険会社に伝える「告知義務」があります。
糖尿病の方が病歴を隠して契約してしまうと、告知義務違反となり「責任開始日」から2年以内であれば保険契約が取り消されることになります。
もし、責任開始日から2年たっていても、そのあいだに保険金や給付金がもらえた場合には、保険会社はうそをついたことを理由に契約を取り消すことができます。
告知するときは自分の過去の病気や健康状態などを正しく保険会社に伝えましょう。
すでに医者に診てもらい病気の名前がわかっていたり薬をもらっている場合には、病院の診察券やレシート、お薬手帳など詳しくわかるものを準備しておくと、告知が楽になります。
支払削減期間について
契約日から1年間、持病以外の病気やケガによる保障金額が50%~75%程度に減らされる制約のことを支払削減期間と呼びます。
支払削減期間の制限を設けない保険会社も増えていますが、一部の商品では「先進医療の保障のみが支払削減期間の対象」となるためご注意ください。
保障内容をよく見比べること、各社の保険商品を比較すること、保険に関する知識を身につけることが大切です。
糖尿病・生命保険に関するよくある質問
ここでは、糖尿病および生命保険に関して寄せられることの多い、以下の2つの質問に回答します。
- 糖尿病になっても加入できる保険は保障が安いですか?
- 糖尿病になっていても入れる死亡保険はありますか?
あらかじめ、上記の情報について理解を深めておきましょう。
糖尿病になっても加入できる保険は保障が安いですか?
一概には言えませんが、糖尿病の人でも入れる保険は、通常の保険よりも保障が安くなるケースが多いのが実態です。また、負担する保険料が割高な保険も多いため、加入前の入念な確認が必要です。
糖尿病になっていても入れる死亡保険はありますか?
病状・経過年数・入院の有無などによりますが、通常の保険に加入できない場合は引受基準緩和型保険・無選択型保険への加入を検討するのも手段のひとつです。
まとめ:糖尿病でも生命保険に入れる方法を探そう
この記事では、糖尿病になったら生命保険はどうなるのかについて徹底解説しました。
糖尿病になったら通常の生命保険には加入できなくなります。しかし、糖尿病と診断されたとしても、「引受基準緩和型医療保険」や「無選択型保険」であれば加入できるかもしれません。
持病があっても必要な保障が得られるため、自分に合った保険商品を見つけてみましょう。