資産運用はしないほうがいいといわれる理由5選!運用しないリスクも把握しよう

「将来に備えて、賢くお金を増やしたい」と考える人は多いでしょう。お金を増やす方法のひとつとして、資産運用があります。

しかし、「資産運用はリスクが高くて、お金を失う可能性があるから、やらないほうが安全だ」という意見を聞いて、不安に感じる人も少なくないでしょう。

この記事では、資産運用はしないほうがいいといわれる理由や、投資をしないことのリスクについて解説します。

資産運用に興味はあるけどなかなか始められない人は、ぜひ参考にしてください。

目次

【結論】資産運用をした方が良い人はたくさんいる

資産運用したほうが良い人はたくさんいます。

例えば、「当面の生活に困っておらず余剰資金をある程度持っている人」。そのような人は、資産運用をすることで多くのメリットを得られるはずです。

ただ余剰資金を貯蓄に回しているだけでは、インフレが進むと実質的な価値は目減りしていくことになってしまいます。それに対して長期で分散して資産運用していけば、大きなリスクを回避しながら少しずつ資産を増やしていくことは可能です。

すべての人が老後生活やライフイベントを経験します。その資金確保のために目標額を定めて、少額からでも早くから資産運用していくことがおすすめです。

資産運用はしないほうがいい!と言われている5つの理由

資産運用とは、自分の資産を預貯金や投資に割り振り、有効に増やすことです。

資産運用には、銀行などの金融機関に資産を預ける預貯金を始め、株式や債券、投資信託などの金融商品の購入などに分けられます。

しかし、資産運用は成功するとは限りません。資産運用に対する否定的な印象や、失敗するリスクを指摘する意見があるのはなぜでしょうか。

ここでは、資産運用はしないほうがいいといわれる理由を紹介します。

  1. そもそも家計が厳しい人は資産運用に手を出さない方が良い
  2. 資産運用には元本保証がないから
  3. 短期間で大きな収益が見込めないから
  4. 資産運用には知識が必要だから
  5. 金融詐欺の被害に遭う可能性があるから

そもそも家計が厳しい人は資産運用に手を出さない方が良い

家計が厳しい人や貯金が難しい人が投資に挑戦しても、生活に困ることになりかねません。

というのも、予期せぬ出費が発生したり、生活費が足りなくなったりすると、投資に回していた資金を切り崩したり、長期的な商品を途中で売却したりしなければならなくなるからです。

そうなると、「資産を増やそうと思っていたのに、本来の価値を下回っている…」といった、逆に損失を被るリスクが高まります。

投資をする前に、まずは毎月の生活費を確保することが大切です。

まずは半年分の生活費を確保しよう

緊急時に備えて生活費を用意している人は全体の6割にも満たないというデータがあります。

全国の18〜79歳の30,000人を対象にした調査では、生活費を用意していない・分からないと回答した人の割合は約43%にも上りました。
参考:金融広報中央委員会「「金融リテラシー調査2022年」の結果」

資産運用を始めたいなら、生活防衛資金として最低でも生活費半年分の準備をおすすめします。

そうすれば、投資に臨む際にも不安を感じることが少なくなるでしょう。

資産運用には元本保証がないから

資産運用をする際には、元本が保証されないというリスクを忘れてはいけません。

預貯金の場合は元本が減ることはありませんが、株式や投資信託などの場合は、市場の価格変動によって、元本を下回ることがあります。これを「元本割れ」と呼びます。

元本割れを回避するには、元本が保証される金融商品を選ぶ必要があります。しかし、元本が保証される商品は利回りが低く、短期間で資産を大きく増やすことは難しいです。

元本を守るか、利益を狙うか、資産運用の目的とリスクをしっかりと把握することが大切です。

短期間で大きな収益が見込めないから

つみたてNISAやiDeCoといった安定性の高い投資方法では、毎月少しずつ資金を積み上げていくため、最初は資産の増加が緩やかです。

しかし、資金が蓄積されるにつれて、複利の力で資産は加速度的に増えていきます。

例えば、100万円を年利8%で10年間複利で運用すると、約215万9,000円になります。対して、200万円を年利8%かつ1年間単利で運用すると、約216万円になります。

つまり、複利で10年間かけた100万円の運用成果は、単利で1年間かけた200万円の運用成果と同等です。

元本割れのリスクを最小限に抑えるには、長期間にわたって資産運用を続けることが重要です。時間を味方にすることで、タイミングに左右されずに、複利の恩恵で資産が拡大することを体感できるでしょう。

資産運用には知識が必要だから

資産運用を行う際には、リスクに関する知識が不可欠です。リスクについて全く理解していない状態で資産運用を始めることは危険です。

また、運用に手間がかからないと思われる金融商品でも、運用開始後に監視を怠ることは避けるべきです。

具体的には、価格や金利、為替相場の変動による損失、投資先の経営状況の悪化による信用リスクなど、さまざまな要因を考慮しなければなりません。

さらに、経済に関する知識や情報の収集も重要です。専門家やAIに投資・運用を委託できる金融商品もありますが、それらも無条件に信頼することは避けましょう。

事前にリスクについて十分に理解し、運用開始後も定期的に運用状況を確認することが大切です。

金融詐欺の被害に遭う可能性があるから

資産運用に関心がない人の中には、詐欺やトラブルを恐れているという意見も多くあります。近年、さまざまな手口の金融詐欺が増加しています。

ここでは、金融庁の金融広報中央委員会が公表している典型的な金融詐欺の事例を紹介します。

  1. 架空FX取引詐欺
  2. 仮想通貨の購入トラブル
  3. デート商法による悪質な投資用マンション販売詐欺

参考:金融広報中央委員会|わたしはダマサレナイ!!

架空FX取引詐欺

絶対に利益が出ると謳われて、高額なFXの自動売買システムを購入させられる詐欺です。

画面上では利益が増えているように見せてきますが、実際には出金できない仕組みで、出金を試みるとエラー表示が出てしまいます。

自動売買システムの提供者に連絡を取ろうとしても、応答がなくなるという典型的な詐欺事例です。
参考:金融広報中央委員会「知るぽると-第31話 架空FX取引詐欺-」

仮想通貨の購入トラブル

知人などからすすめられて参加した仮想通貨の投資セミナーで、新規に発行される仮想通貨を紹介される事案です。

そこで「確実に利益が出る」「セミナー参加者に限定した特別価格」などといわれて契約をしてしまいますが、実際には取引が開始されることはなく、セミナーの主催者との連絡も途絶えてしまうという詐欺事例です。
参考:金融広報中央委員会「知るぽると-第38話 「必ず値上がりする」は嘘。仮想通貨の購入トラブルが急増中!-」

デート商法による悪質な投資用マンション販売詐欺

婚活サイトなどで被害者と親密になった後で、投資用マンションを押し売りする詐欺です。

「2人の未来のため」と謳い、マンション投資をすすめられてマンションを購入してしまいますが、その後、相手の姿が見えなくなります。

購入したマンションは、購入価格よりも価値が劣り、ローンの返済だけが残ります。
参考:金融広報中央委員会「知るぽると-第34話 デート商法による悪質な投資用マンション販売-」

資産運用をしないこと自体がリスクとなり得る

資産運用には一定のリスクが伴いますが、資産運用を行わないという選択にも別のリスクが存在します。

経済環境の変動に伴い、資産を効果的に増やすための運用がますます重要になってきています。

ここでは、資産運用をしないことの潜在的なリスクを3つ取り上げて紹介します。

  1. 資産運用をしないと将来のお金を増やせない
  2. インフレによる円の価値が減少するリスクがある
  3. 老後資金の年金頼みはリスク大

資産運用をしないと将来のお金を増やせない

教育費、結婚式、子育てなど、人生のさまざまな段階で大きな資金が必要になることがあります。将来のニーズに備えて十分な資金を蓄えるためには、単に預貯金に頼るだけでは不十分な場合が多いです。

資産運用に関連するリスクに過度に焦点を当てると、資金を増やすチャンスを逃すことになりかねません。

一般的に、資産運用は長期にわたって行うほど、リスクを低減し、より良い成果を期待できるとされています。

金融庁の「資産運用シミュレーション」によると、年間3%の利回りが見込める投資に毎月3万円を10年間つみたてると、最終的な投資元本と運用収益の合計は約420万円になります。

これを30年間続けた場合、最終的に投資元本と運用収益の合計金額は約1,750万円に達します。

参考:金融庁「資産運用シミュレーション」

一方、金利0.02%の銀行に毎月3万円を10年間預金した場合、最終的なつみたて金額は360万3,572円程度です。

このように、毎月のつみたて額が少なくても、早期から資産運用を開始することで、将来必要となる資金を蓄えられる可能性が高まります。

インフレによる円の価値が減少するリスクがある

資産運用をしない選択は、インフレの進行によって資金の実質価値が低下するリスクを伴います。

インフレとは、一般的に商品やサービスの価格が上昇する経済現象を指し、景気の拡大と共に発生することが多いです。

この時、企業収益の増加や個人収入の向上が見込まれるため、物価上昇に対応可能です。しかし、収入が増えない状況では、同じ商品に対してより多くの費用が必要となり、資金の価値は相対的に減少します。

インフレが持続すると資産価値の減少が加速するため、資産運用を通じて資金を増やすことが賢明な戦略となります。

老後資金の年金頼みはリスク大

老後の生活資金として年金のみに依存することは、多くの不確実性をはらんでいます。

日本の人口構造が少子高齢化により変化している現状では、労働力人口の減少に伴い、年金制度への負担が増大しています。

国は年金制度の安定化を目指してさまざまな施策を講じてはいますが、将来受け取れる年金額の減少が予想されていることも事実です。

年金収入だけでは将来の生活資金が不足する可能性が高いため、資産運用を含む追加的な準備が求められるでしょう。

資産運用には大きなメリットがある

多くの人にとって資産運用にはいくつかの大きなメリットがあります。

  • 不労所得としてお金を得られる
  • 複利によって効率的にお金を増やせる
  • お金・経済に関する知識を身に付けられる

それぞれについて見ていきましょう。

不労所得としてお金を得られる

資産運用をすれば、不労所得としてお金を得られる可能性があります。
不労所得とは労働の直接の対価ではなく、権利を維持管理していくことで継続して得られる収入のことです。

副業で収入を得ようとすると、本来は本業以外に労働に時間を費やさなくてはいけません。限られた余暇の時間をさらに労働に当てることになれば、疲弊して本業に悪影響を及ぼすこともあります。そのため企業は就業規則において副業を禁止していることがほとんどです。

一方、資産運用の場合は、定期的に適切な管理をすることで利益を上げられます。たとえば株式投資をして配当金を得たり、値動きがあったタイミングで売却して差額分の利益を得ることができます。

資産運用は、本業とは別に労働時間を取られることのない収入源として期待できるのです。

複利によって効率的にお金を増やせる

長期に運用すれば、複利によって効率的にお金を増やせることもメリットの一つです。
複利とは、一定期間ごとに生じる利息・利益も元本に組み込むことで利息・利益自体にも新たに利息・利益が付くことを指します。

複利運用を長期で行うことができれば、単純に元本だけを運用する「単利運用」よりも顕著に利益を増やせる可能性があります。

たとえば、元本100万円で年利5%の運用を20年続けた場合の結果は以下の通りです。

計算式
結果(20年後)
単利運用
100 × (1 + 0.05×20)
200万円
複利運用
100 × (1 + 0.05)20
約265万円

100万円を20年運用した結果は、単利運用よりも複利運用のほうが約65万円も多くなります。長期的な視野でうまく複利運用すれば、資産を大きく増やせるチャンスがあります。

お金・経済に関する知識を身に付けられる

お金・経済に関する知識を身に付けられることも資産運用のメリットとして挙げられます。

金融商品の性質やその運用方法、収益が生まれた場合の税務処理に関することは、社会人として生活していく上でとても重要な知識です。もっとも現実は、多くの方が日々の忙しさからついつい後回しにしてしまってそのような知識を真剣に身に付けようとしません。

しかし、自ら資産運用することになれば知識を吸収しようとするモチベーションは格段に上がります。金融や経済、税金の理解がなければ資産運用をうまくすることはできず、利益を生むどころか損失を被りかねないからです。

お金に関するリテラシーを身に付けるには、資産運用を実践してみることが近道です。

資産運用をする人・しない人にはどんな差がある?

資産運用に積極的に取り組むことで、どのような差異が生まれるのでしょうか。

ここからは、資産運用をする人としない人の差について紹介します。

  1. 資産運用をしない人のケース
  2. 資産運用をする人のケース

資産運用をしない人のケース

銀行預金は安全性が高いとされていますが、その反面、利息収入は非常に限られています。

例えば、年利が0.001%の普通預金に1,000万円を預けた場合、1年間の利息はわずか100円に過ぎません。

資産が一定の水準に達した際には、より高い利率を提供する定期預金への移行も考慮されます。

しかし、5年定期預金の金利が0.5%であったとしても、資産の顕著な増加は期待できないといえます。

資産運用をする人のケース

株式や投資信託などの金融商品を利用して資産を運用すると、株価の上昇時に売却することで資産を増やすことができます。

また、増加した資産を再投資することも可能です。税金の優遇措置を受けられるつみたてNISAやiDeCoを使うと、投資で得た収益を非課税にしてさらに資産を増やすことができます。

金融商品の価格変動による損失の危険はありますが、毎月決まった金額をつみたてて長期間運用することで、一定の価格変動の影響は小さくなります。

資産運用に向いている人の特徴

資産運用に向いている人の特徴はいくつかあります。

  • 将来的に備えてお金を用意したい人
  • ライフプランがある人
  • 毎月貯金をする習慣がある人

それぞれについて見ていきましょう。

将来的に備えてお金を用意したい人

具体的に何かお金が必要な予定はなくても、将来に備えてお金を用意したい人は資産運用に向いています。

現状は経済的な余裕があるけれど、事故や病気などによる突発的な出費や誰しもが迎える老後の資金に備えたい人には資産運用はおすすめです。
資産運用は余剰金で始めるほうが冷静な判断で継続できるので、余裕のある状態から始めるのがベターです。また、できるだけ長期間に渡ってまとまったお金を投資したほうが、損失のリスクを回避しながら少しずつ利益を上げやすい傾向があります。

将来起こるかもしれない事態に備えておきたい人は、できるだけ早く始めて複利運用の効果を得ましょう。幸い何も起きなかった場合にも、老後に安心して暮らすことができます。

ライフプランがある人

具体的にライフプランがあることは、資産運用が向いていると言える特徴の一つです。

人生を進めていく中では、自動車や住居の購入、結婚、子育て、退職など大きなイベントがたくさんあります。それらのイベントには相当な出費がつきものなので、そのための費用を貯蓄していく必要があります。

自分が何歳の時に各イベントを迎えそうかがプランとしてあれば、それまでの期間にいくらのお金を目指すべきか逆算して資産運用することができます。
いくらの金額を投資に使うのかやどの金融商品に投資するのかの判断によって、リターンの可能性の幅が違います。無理をして投資額を増やすのは推奨できませんが、できるだけ目標額に達するように運用方法を考えられるのは利点です。

毎月貯金をする習慣がある人

毎月貯金をする習慣があるという特徴を持っている人は、資産運用に向いています。

資産運用の鉄則は、長期で継続して行うことです。長期で行うことで一時的な値動きに判断を左右されず、複利効果を最大限に活かすことができます。

長期で継続するためには、目先の利益を追わずにコツコツと取り組むことができる根気が必要です。毎月貯金できている人は、目先の楽しみのために浪費することなく将来に備えられる素質があるので、資産運用で必要な根気を備えているでしょう。

まずは習慣化できている毎月の貯金を積み立て投資に移行するなど、特に抵抗なくスムーズに資産運用を始めることができるはずです。

資産運用をしないほうがいい人の特徴

資産運用をしないほうがいい人には、共通する特徴があります。

投資を考えている人は、自分に当てはまる点がないか確認してみましょう。

  1. 短期間でお金を増やしたいと思っている人
  2. 他者の意見に流され資産運用を行う人
  3. 資産運用の目的が明確でない人

短期間でお金を増やしたいと思っている人

資産運用の知識や経験が不足している人が短い期間で利益を得ようとすると、リスクが高くなります。

例えば、株式などの金融商品を購入した場合を想像してみてください。金融商品の価格は、購入時から上昇したり下落したりと変化します。

長期的に投資すると、金融商品の価格変動が平均されるため、安定した利益に繋がりやすいです。しかし、短期的に金融商品を売買すると、日々の価格変動に影響されやすく、長期運用よりも高リスク・高リターンとなります。

さらに、売買の際に発生する手数料が多くなってしまい、受け取るお金が少なくなることもあります。

知識や経験の乏しい初心者が短期的な投資をすると、ギャンブルに近い運用方法になってしまいがちです。

一時的な大きな利益を求めるのではなく、長期的な視点で見ることが安定した資産運用を行うポイントといえます。

他者の意見に流され資産運用を行う人

他者の影響を受けやすい人は、無自覚にリスクの高い投資に手を出したり、詐欺に遭遇するリスクがあります。

自分で投資対象や戦略を研究せずに行う投資は、当たり前ではありますが失敗した際に他人が責任を負うことはありません。

SNSや電話を通じた投資勧誘には警戒が必要です。また、知人からの提案にも慎重になるべきです。保証された元本や確実な利益を謳う投資商品は、詐欺である可能性が高いです。

他人の情報に基づき投資を始めること自体は問題ありませんが、理解できない点がある場合は、それらの疑問を解決せずに投資を進めるべきではありません。

不明瞭な部分は損失を招く原因となり得ます。関心を持った分野について調査し、自己の納得の上で投資を開始することが重要です。

資産運用の目的が明確でない人

投資目標が不明確な場合、運用方針が定まらず、適切な資産管理が難しくなります。

例えば、子供の教育費や退職後の生活資金などの具体的な目標を設定することで、必要な資金額とその準備期間が見えてきます。

目標額と投資の期間を明確にすることで、運用の方針を立てることができ、より効果的な資産運用が可能になります。

したがって、投資を始める前には、明確な目標設定が重要といえます。

資産運用を成功させる7つのポイント

資産運用におけるリスクとは、「リターンの変動があること」を意味します。リスクの高い商品は変動が大きいため、大きな損失を招く可能性も、大きな利益を得る可能性もあります。

資産を安定的に増やすためには、そのリスクの特徴に合わせた運用をすることが重要です。ここでは、資産運用を成功させるポイントについて解説します。

  1. 資産運用を始める前に目標額を決めよう
  2. 資産運用は余剰資金で行う
  3. 資産運用は分散投資を意識する
  4. まずは少額から始める
  5. 長期的に投資を続けることを前提に考える
  6. 定期的にポートフォリオを見直す
  7. 市場やお金の動きを確認する

資産運用を始める前に目標額を決めよう

資産運用には目的が必要です。目的があれば、達成するために必要な目標額が算出できます。目標額があれば、目的に合った投資方法が選べます。では、どのようにして目的と目標額を決めるのでしょうか。

まずは、将来のライフイベントを具体的にイメージしてみましょう。結婚、住宅購入、車の購入、子供の教育資金、年金の確保など、自分の人生にとって重要なイベントは何でしょうか。

それらのイベントには、それぞれに必要な費用があります。その費用が目的となります。目的が決まったら、次に目的を達成するまでに必要な期間を考えましょう。その期間が積立期間となります。

目的と積立期間が決まったら、その目的を達成するために必要な目標額を計算しましょう。自分のリスク許容度に応じて、適切な投資方法を選ぶことが大切です。

資産運用は余剰資金で行う

資産運用を行う際には、余剰資金を使うことが大切です。投資にはリスクが伴うため、投資で損失を出してしまったとしても、生活に影響が出ないようにするためです。

もし余剰資金がない人は、まずは家計の見直しをして無駄な支出を減らし、貯蓄を増やすことから始めましょう。

近年では、少額から投資を始められるサービスが増えています。まずは、自分にとって痛くない程度の金額で投資を試してみて、投資の仕組みや感覚を身につけることも一つの方法です。

資産運用は分散投資を意識する

資産運用においてリスクを低減するためには、分散投資の考え方を取り入れることが必要です。分散投資とは、さまざまな種類の金融商品や地域、通貨、タイミングなどに分けて投資することで、リスクを分散させる戦略のことです。

一つの投資先に大きな資金を集中させてしまうと、その投資先が暴落した場合に、莫大な損失を被ってしまう危険性が高まります。しかし、分散投資を行なっていれば、ある投資先が大幅に下落しても、他の投資先が上昇して損失を相殺できる可能性が高まります。

分散投資を実践していれば、一つの失敗で致命的な打撃を受けるような大きい失敗を回避しやすくなります。

まずは少額から始める

資産運用の初期の頃は、まずは少額から始めることが無難です。

もちろん、利回りが同じならば投資に回す元本が大きいほうが利益は大きいです。
ただし、金融商品の種類や割合の選択が最初からうまくいくわけではなく、想定通りの値動きをするとも限りません。投資する金額が大きいということは、想定する利回りにならず逆に損失を被ることになったときの影響も大きくなるということです。

万が一にも生活に支障が生じるようなことのないように、まずは少額で小さな成功を目指しましょう。そして、成功するごとに運用への理解を深めて、少しずつ大きな収益を狙うのがおすすめです。

長期的に投資を続けることを前提に考える

投資は長期的に続けることを前提に考えましょう。

資産運用をしていると、保有している金融商品の価値が下落したり、場合によっては不況の影響を大きく受けることもあります。もっとも、一時的にはそのような損失があっても、長期で投資することを前提にしていれば先々で損失を回収することは十分可能です。

視野を長期的なものにすれば一喜一憂せずに冷静な判断も下せるので、運用が好転する可能性も上がります。

複利効果を得るという観点からも期間は長ければ長いほど良いので、投資は長期を前提に考えるようにしましょう。

市場やお金の動きを確認する

運用している途中で、市場やお金の動きを確認することも忘れてはいけません。

長期運用をするので、必ずしも頻繁に値動きに反応しなくても大丈夫です。

ただし、明らかに市場に大きな波を起こしそうな出来事が世の中で起こっていたり、すでに大きな損失が生まれているような値下がりに関しては注意しましょう。後でリカバリーできないような損失またはその可能性があるときは、ときには保有商品を即売却する判断が求められることもあります。

耐えがたい大損失を被ることのないように、市場やお金の動きのチェックを怠ってはいけません。

定期的にポートフォリオを見直す

長期運用する中で、定期的にポートフォリオを見直すことも成功のポイントです。

ここで言うポートフォリオとは、保有する金融商品の種類とその金額の割合のことです。
市場では常に金融商品が値動きをしているので、保有している商品の価値も常に変動していきます。すると、当初は最適だと考えていたバランスがいつのまにか崩れてしまっていることもあり、それを修正しなければならなくなります。

放置したままでは、思わぬリスクを背負ってしまっていたり、得られるはずのリターンを取りこぼしていたりすることもあります。最低でも1年に1回はポートフォリオを見直して、その時点で最適なバランスに戻すことが肝要です。

資産運用に関するよくある質問

資産運用に関するよくある質問に回答しましょう。

  • 資産運用はどのようなタイミングで始めるべきですか?
  • 資産運用の方法にはどのようなものがありますか?
  • 資産運用を始める際に必要な物は?

それぞれについて見ていきます。

資産運用はどのようなタイミングで始めるべきですか?

唯一の正解はありませんが、余剰資金がある程度あれば将来への備えの必要性を感じたタイミングで始めるのがおすすめです。

資産運用は余剰資金を使って始めるべきです。一時的に損失が出るリスクもあるので、生活資金が不足するような事態にならないことは前提にすべきだからです。

その上で、現在余裕はあるけれど将来にもっと資金が必要だと感じたら始めてみましょう。
できるだけ早く始めて長期で分散投資するほうが、リスクを回避して成果を出せます。

副業で稼ぐ時間まではない場合やそもそも勤務先では副業が禁止されている場合には、資産運用は有効な選択肢です。

資産運用の方法にはどのようなものがありますか?

普通預金や定期預金の他に、外貨預金、債券、投資信託、株式投資などの運用方法があります。

それぞれの方法によって性質は大きく違います。

種類
性質
普通・定期預金
元本保証があり極めて安全だが、収益性はほとんどない
外貨預金
為替相場の変動により、円安のときに売却差益を得られる
債券
満期まで保有すれば預貯金よりも利回りは良い
株式投資
値動きのリスクは大きいが、配当金や譲渡益を得られる
投資信託
分散運用を専門家に任せられるが、信託報酬もかかる

どれかひとつの種類が他に比べてすべてにおいて優っていることはなく、どれも一長一短です。それぞれの性質をしっかり理解した上で、種類や割合をうまく分散させて運用していくことが成果を上げるために必要です。

資産運用を始める際に必要な物は?

株式や投資信託などの資産運用を始めるには、まず銀行口座の他に証券総合口座が必要です。

証券口座の開設は、実店舗や郵送、電話、オンラインで申込書をもらえば、必要事項を記入し本人確認書類を添えて提出することで行うことができます。マイナンバーカードや運転免許証などで本人確認が済めば、最短即日で口座開設できる会社がほとんどです。

そして、運用を始めるには一定の入金が必要です。投資のために準備していた額を入金してから実際の取引を始めましょう。

パソコン、スマホなどネットに接続できる端末も通常は必要です。入出金や株式の注文購入、株価の変動のチェックなど、資産運用を円滑に進めるためにはネット環境は重要な役割を担います。

まとめ:長期的な視点で着実に資産を増やそう

資産運用とは、一夜にして大金が手に入るような危険な行為ではありません。

生活に必要な費用や使い道が決まっている資金は安全な預金に回し、日々の暮らしに支障をきたさない程度の余剰資金を投資に回してみましょう。

資産運用では、リスクを分散させた商品に資金を分けて、長いスパンで地道に取り組むことが大切です。特に、20〜30代の人は今から始めることをおすすめします。

若いうちから資産運用をスタートすれば、その分長期の運用効果が期待できるからです。将来のために確実に資産を築いていくためにも、自分に合った資産運用を見つけてみましょう。

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