保険は最低限どれに入っておくべき?独身に必要な保障とおすすめの選び方を解説

保険会社の営業員に勧められるままに高額の生命保険に加入したため、保険料を節約したいと考えている人がいる一方、どのような保障が必要なのか分からず生命保険に加入していない人もいるでしょう。

そのような場合、資格を持つファイナンシャルプランナー(FP)への相談が役立ちますし、自身に本当に必要な保障がわかれば、自分に合った最低限の保険選びができます。

今回の記事では、2024年現在の視点から、最低限入っておくと安心な保険について、公的保障の活用方法も含めて解説します。

万が一のときの公的保障やおすすめの保険の加入方法も紹介するので、保険料を節約しながら自分に最適な保険を見つけましょう。

目次

保険は最低限どれに入っておくべき?【ライフステージ別】

最低限入っておくと安心な生命保険は、ライフステージによって異なります。ライフステージ別にどのような保障が必要かを解説します。

  • 独身世帯向け
  • ファミリー世帯向け
  • 老後世帯向け

独身世帯向け

独身世帯の女性が最低限入っておくと安心な保険は、入院や手術などに備える「医療保険」です。

社会人になって日が浅く貯蓄が十分でない人ほど、手厚い医療保障が必要です。手術したり入院が長引いたりして治療費が高額になると、支払いに困るケースもあるからです。

ただし、治療のために仕事を辞めるなど、長期間収入が途絶えた場合を想定すると、医療保険だけでは不十分なケースもあります。

より手厚い保障を準備したい場合、収入のないときに給付が受けられる「就業不能保険」がおすすめです。

ファミリー世帯向け

ファミリー世帯の男性世帯主は、万が一のときに遺族の生活を守るための「死亡保険」が必要です。

世帯主の収入がなくなるため、子どもが独立するまでの生活費や学費、子どもが独立したあとの配偶者の生活費が足りなくなる可能性があるためです。

配偶者の収入や子どもの有無や人数、年齢などから、世帯主が死亡後に不足する資金をシミュレーションして、死亡保障がいくら必要かを確認しましょう。

また、急な病気やケガに備える医療保険にも加入が必要です。

十分な貯金があればいいですが、教育費や住宅ローンなどの支出が多い時期であるため、治療費などが経済的負担になることもあります。

保険料を最低限に抑えるために、死亡保障に重点を置きつつ、死亡保障と医療保障のバランスを考えて加入する保険を選択し、マネープランをしっかり立てましょう。

老後世帯向け

老後世帯の人が最低限入っておくと安心な保険は、一生涯保障が続く「終身医療保険」です。

年齢とともに病気になる確率は高まり、長期化する傾向にあります。また、病気をした後や80歳以上など高齢になると再加入が難しくなるため、満期のない終身の保障がおすすめです。

高齢になると介護保険や、整理資金として終身の死亡保険に加入することを検討する人もいますが、優先するのは医療保障の適用です。

介護保険の給付は要介護状態に限定されるのに対し、医療保険は加入する保険の種類にもよりますが入院・手術を幅広くカバーできます。

また、家族葬を利用するなど、整理資金は工夫次第で抑えることができます。

医療費で貯蓄を取り崩すとその後の生活費に困ることもあるため、加入しておくと安心な保険といえます。

保険は最低限どれに入っておくべき?【リスク別】

保険に入るべきかどうか、どんな保険に入るべきか、迷っている人は少なくないでしょう。自分が備えたいリスクに応じて、最適な保険の種類は変わってきます。

ここでは、リスク別におすすめの保険とメリットについて紹介します。

  • 病気や怪我に備える保険
  • 働き続けられないリスクに備える保険
  • 老後のための保険
  • 家族が亡くなった時の生活費の減少に対応する保険

①病気や怪我に備える保険

楽しみのためや子どもの教育のためには貯金ができても、医療費についてはなかなか準備ができないものです。

普段の生活の中で突然、高額な医療費がかかることになったらどうすべきでしょう。そんな時に安心できるのが「病気や怪我で困らない保険」です。

病気や怪我で困らないためには、次のような保険がおすすめです。

  • 医療保険
  • がん保険

医療保険

医療保険が必要なのは、入院や手術などの治療費を貯蓄で賄うのが難しい人や、貯蓄を取り崩したくない人です。

短期の入院など治療費があまりかからなければ問題にならなくても、ガンが再発して治療が長期化したり、先進医療など費用が高額な治療法を利用する場合、経済的負担は大きくなります。

治療費がいくらかかっても構わないという人以外は、医療保険が必要といえます。

医療保険に加入するときのポイントは、次の3つです。

1つ目のポイントは、定期タイプと終身タイプのどちらを選択するかです。高齢で今後保障内容を見直す必要がなければ一生涯保障の続く終身タイプ、見直しの可能性があれば保険料の安い定期タイプをおすすめします。

2つ目のポイントは、入院日額をいくらにするかです。入院日額が高いほど保障は手厚くなりますが、保険料も高くなります。高額療養費制度の自己負担限度額には入院中の食事代や差額ベッド代は含まないことに注意して、最低限必要な入院日額を決めましょう。

3つ目のポイントは、先進医療特約を付加することです。先進医療を利用した場合、健康保険が効かないため費用は高額になりがちです。保険料は100円ほどで済むため、特約付加した方が安心でしょう。

医療保険の選び方について詳しく知りたい人は、次の人気記事で情報を確認してください。
関連記事:医療保険の選び方を年代ごとに解説!自分に合う医療保険を選ぼう

がん保険

がんに備える保険は、がん治療にかかる費用負担を軽減できる保険です。がん治療は一回発症すると、治療期間が長くなることも多く、費用が高くなりがちです。

そのため、多くのがんに備える保険は入院や手術、通院だけでなく、がんと診断された時や放射線治療・抗がん剤治療を行った時、先進医療を受けた時など、さまざまな治療に対して給付金が支払われます。

がんに備える保険は治療の進歩に合わせて、新しい商品が開発されやすい保険です。自分が加入している保険が、今のがん治療に適しているか、定期的なチェックが必要な保険と言えるでしょう。

②働き続けられないリスクに備える保険

今は健康だとしても病気や怪我(事故)が原因で、治療や手術、リハビリ、後遺症などによって「働き続けられない状況」に陥る可能性は、誰にでもあります。

働き続けられないことで収入が減るリスクに備えるには、次のような保険がおすすめです。

  • 所得補償保険
  • 就業不能保険

所得補償保険

損害保険会社が提供する所得補償保険は、一時的(短期的)に収入が減ってしまった場合に保障する保険です。

所得補償保険には、以下のような特徴があります。

  • 7日ほどの免責期間
  • 1年〜最大5年ほどの保険期間(※長期補償型もあります)
  • 契約時の年収の約50〜70%ほどが保険金の上限

「働くことができなくなってから保障を受けるまでの時間が短い」というメリットがありますが、社会復帰が困難な状態になっても保障が切れてしまうというデメリットもあります。

公的な支援が少ない自営業者やフリーランスなどは、収入が短期間で減るリスクが高いので、傷病手当金の代替として加入を考えてみてもいいかもしれません。

就業不能保険

長期にわたって収入が減るリスクに対応する保険として、生命保険会社が提供するのが就業不能保険です。

就業不能保険の特徴は、以下の通りです。

  • 60日間の免責期間を経て給付が始まる
  • 保険期間は60歳から70歳までの間で自由に選べる
  • 年収に応じて月額10万円から50万円までの給付金を設定できる

就業不能保険は、長期にわたって生活を支えることを目的としています。

傷病手当金では足りない分を補うことや、傷病手当金の支払いが終わった後や病気などで退職した後の生活資金として使用可能です。

会社員や公務員であっても、仕事ができなくなる可能性はあります。毎月の社会保険料や生活費を最低でも確保できるように、就業不能保険に加入しておくと安心です。

③老後のための保険

老後は体力が衰えて病気になりやすくなるだけでなく、寿命が延びることでお金の心配も増えます。

ここでは、老後の資金作りに役立つ保険の中から、個人年金保険について紹介します。

個人年金保険(定額・変額)

個人年金保険は老後のために貯める保険で、定額個人年金保険と変額個人年金保険の2種類があります。

将来に備えて保険料を払っておき、「一定の年齢になったら一括でお金をもらう」か、「毎月の年金をもらうか」を選べる仕組みです。

定額タイプは、将来もらえる年金額が最初から決まっている保険であり、変額タイプは投資信託によって運用する保険です。

変額保険の場合、運用の成果によって将来もらえる年金額が変わるため、運用がうまくいかないと払った保険料よりも少なくなる可能性もあります。

しかし、逆に資産が大きく増えるチャンスもあるので、積極的に資産を増やしたい人は考えてみてもいいでしょう。

④家族が亡くなった時の生活費の減少に対応する保険

家族の中で一番稼いでいた人や、収入を分担していたパートナーが亡くなった時に備える保険が「死亡保険」です。

高額な葬儀費用はもちろんのこと、家族の生活費の減少を長期的に補ってくれる保険です。

死亡保険には、次のような商品があります。

  • 定期保険
  • 終身保険
  • 収入保障保険

それぞれの商品の特徴を紹介します。

定期保険

定期保険は、契約するときに保険期間が決まっている死亡保険です。保険期間の間に亡くなったり、高度障害になったりしたら、保険金がもらえます。

支払額は契約の数や内容によりますが、保険料は支払った分だけで返ってきません。そのため、安い保険料でたくさんの保障ができます。

ただし、保険期間が終了すると保障がなくなります。契約を続けることもできますが、続けるときの年齢で保険料が変わるので、移行する際には保険料が高くなります。

老後のお葬式や家族にお金を残したいときなど、年をとってからも保障がほしいときは、最初から終身保険を使うことを考えておいた方が良いでしょう。

終身保険

終身保険は、死亡保険の中でも生涯にわたって保障が続くものです。

契約を維持していれば、遺族には保険金が支払われるので、葬儀費用や遺産整理などに役立てられます。

終身保険は貯蓄性にも優れており、保険をやめるときには解約返戻金がもらえます。万一に備える機能と資産を築く機能、どちらも備えた保険と言えます。

ただし、契約期間が短いと、払った保険料に比べてほんの少ししか解約返戻金がもらえません。解約するタイミングにも注意が必要です。

将来もらえる解約返戻金は、保険の説明書などで確認できるので、将来のお金の必要な時期も考えておくと、効率的に資産を築けます。

収入保障保険

収入保障保険は死亡保険の一種で、加入時点を最大として、年が経つごとに保険金額が少しずつ下がっていきます。保険金額は、月々受け取れる年金として決められています。

「保険期間30年・保険金額10万円(月額)・保証期間5年」という場合、契約から5年後に亡くなったら「年金月額10万円×12ヶ月×25年=保険金額3,000万円」、28年後に亡くなったら「年金月額10万円×12ヶ月×5年=保険金額600万円」、というふうに保険金額が変わります。

保険料は一括払いで、年金が支払われる期間は保証されています。定期保険の中でも、理にかなった保障の仕組みで、他の定期保険よりも安い保険料で加入できます。

保険は最低限どれに入っておくべき?【年代別】

リスク別に最低限入っておくべき保険を把握したら、年代別における保険の一覧も押さえておきましょう。

ここでは、以下の項目に沿って最低限入っておくべき保険の種類を紹介します。

  • 20代・30代に必要な保険
  • 40代・50代に必要な保険

20代・30代に必要な保険

20〜30代は、人生の大きな変化が多く起こる時期です。結婚、マイホームの購入、子どもの誕生、転職など、さまざまなライフイベントを迎える人も多いでしょう。

資産を築きながら、生活の土台を整えていく時期でもあります。このような重要な時期に何かあったら、家計に大きな影響が出る可能性が高いです。

そうならないために、医療保険、就業不能保険に加入しておくことをおすすめします。

結婚している人は、配偶者や子どものことを考えて、死亡保険に加入しておくことが優先事項です。

若い世代は体力に自信があるかもしれませんが、保険の必要性を見直しておくことが大切です。

40代・50代に必要な保険

40〜50代の家族を持つ方は、子どもが自立するまでは死亡保険や就業不能保険に加入しておくことが大切です。

しかし、子どもの育成期間は年々短くなっています。子どもの進学費用や住宅ローンの支払いなど家計に負担がかかる状況なら、死亡保険の保障額も含めて現在の保険を見直してみると良いでしょう。

40代からは30代よりも病気になるリスクが高くなります。特にがんは30代と40代では罹患率が約3倍になります。医療保険やがん保険に加入しておけば、安心感が得られます。

そのほかの保障に関する保険|必要性と加入方法

最後に、死亡保険と医療保険以外の保険について必要性と加入方法を紹介します。

  • 死亡保険
  • がん保険
  • 学資保険・個人年金保険
  • 就業不能保険

死亡保険

保険の種類ごとに、必要性などを解説します。最初は、死亡保険が必要な人とおすすめの加入方法についてです。

死亡保険は、被保険者の死亡を条件に保険金が支払われる保険ですが、無駄な保障を省くには、公的保障も考慮して保障額を決めることがポイントとなります。

  • 死亡保険が必要な人
  • 死亡時の公的保障
  • おすすめの加入方法

死亡保険が必要な人

死亡保険が必要なのは、本人の収入によって生活している家族などがいる人です。

配偶者や独立前の子どもだけでなく、障害で成人後も収入のない子どもの面倒を親がみているケースもあります。

夫婦共働きの場合でも、1人だけの収入になったら生活が厳しくなることもあるでしょう。

また、次のケースなど個々の事情により死亡保険が必要な人もいます。

  • 返済が必要な借金がある人
  • 相続税として現金の準備が必要である人 など

死亡時の公的保障

死亡したときの公的保障は、国民年金や厚生年金の加入者(または加入していた人)の遺族に支給される遺族年金です。

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、公的年金の加入状況や子どもの有無・年齢などによって一方、または両方が支給されます。

ただし、保険料の未納が多い人や国民年金のみに加入していた人が死亡した場合、遺族年金が支給されないケースもあります。

死亡した人に妻と18歳未満の子どもが1人いる場合、支給される遺族基礎年金の金額は約100万円です。

遺族年金の支給額について詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。
関連記事:万が一のときはいくらもらえる?遺族年金の受給金額を確認しておこう

また、労災で死亡した場合には、労災保険の遺族補償給付(通勤災害の場合は遺族給付)が支給されます。

遺族基礎年金や遺族厚生年金の保険給付を受けるときは、遺族補償給付は減額されます。

おすすめの加入方法

死亡保険には、終身保険や定期保険、収入保障保険などがあり、程度に応じて選ぶことができます。遺族の生活保障として死亡保険に加入する場合は、定期保険または収入保障保険がおすすめです。

定期保険や収入保障保険は満期になると保障が終わりますが、一生涯保障が続く終身保険と比べて保険料が割安な点がメリットです。

子どもの独立など一定期間が経過して高額な死亡保障が不要になった場合は減額したり、保障が必要な場合は、更新して継続できる商品もあります。

引用:生命保険協会「STEP.6主な個人保険商品の種類」

がん保険

がん保険は、ガンで入院したり手術や放射線治療などを行ったときに給付金の出る保険です。ガンが心配で、手厚い保障を準備したいときには最適の保険といえるでしょう。

ただし、民間の医療保険に加入していれば、ガンで入院や手術をしたときでも給付金が支給されるケースが多いです。

逆に、がん保険だけしか加入しなければ、その他の病気やケガで入院・手術したときの保障がなくなってしまいます。

すべての病気やケガが対象になる医療保険は多くの人に必要な保険といえますが、がん保険については、より手厚い保障を求める人が医療保険の上乗せとして加入するのがいいでしょう。

学資保険・個人年金保険

学資保険や個人年金保険は、教育資金や老後資金を準備するための貯蓄型保険です。長期にわたり毎月保険料を支払うことで、まとまった資金の貯蓄が可能です。

ただし、資金準備する方法は保険だけではありません。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、税制上の優遇措置を活かして効率的に資産運用できる制度もあります。

また、現在は予定利率が低いため、学資保険や個人年金保険では、払い込んだ保険料を大きく増やすことは期待できません。

学資保険や個人年金保険は最低限加入すべき保険とはいえませんが、運用リスクを避けて手堅く資金を準備したい人にとっては選択肢の1つです。

就業不能保険

就業不能保険は、病気やケガによる入院や療養で長期にわたり仕事ができないときに、給付金が支給される保険です。

治療費を医療保険で賄い、収入の減少を就業不能保険で補うことができれば、大きな病気をしても安心でしょう。

ただし、会社員が長期間休業して給与が支払われなかった場合、労災の場合は労災保険から休業補償給付(通勤災害の場合は休業給付)が、労災以外の場合は健康保険から傷病手当金が支給されます。

会社員については、公的保障があるため就業不能保険は必須とまではいえません。

自営業者については、休業したときに収入を補ってくれる公的保障がないため、就業不能保険(または損害保険会社が提供する所得補償サービス)の加入がおすすめです。

既婚者が最低限入っておくべき保険とは?

家族の人数や暮らし方によって、起こりうるリスクは異なります。結婚している人が保険で対策すべきリスクとは何でしょうか。

ここでは、既婚者が最低限入っておくべき保険について紹介します。

  • 死亡時に生活費や教育費が足りなくなるリスク
  • 病気やケガで治療費が用意できないリスク
  • 働けなくなった時に収入が下がるリスク

①死亡時に生活費や教育費が足りなくなるリスク

誰もが避けたいことですが、どんな人にも予期せぬ事故や病気が起こる可能性があります。

死亡に備える保険などを準備していないと、家族が残されてからの生活費や教育費に不安が残ります。

例えば、自分が住宅ローンの契約者である持ち家に住んでいて、もし自分が亡くなったら、団体信用生命保険の死亡保険金で住宅ローンの残りの借金がチャラになるので、家族はローンの支払いを心配する必要がありません。

しかし、住宅ローンの契約者でない家族が亡くなったり、借りている家に住んでいたりする場合は、死後も家族が生活費や家賃を払い続ける必要があります。

②病気やケガで治療費が用意できないリスク

何かの病気やケガで治療を受ける必要があるとき、資金が不足しないか心配になるのもリスクの一つです。

日本では国民皆保険制度が整っていて、自分で払う金額を少なくできる制度がありますが、長期間の入院や個室での療養を選んだ場合は、その分の負担も増えていきます。

さらに、がんや三大疾病などの長期治療が必要な病気にかかった場合、家庭の経済にも大きなダメージを与える可能性があります。

貯金が十分でない人は、病気やケガに対する備えも考えておくべきでしょう。

③働けなくなった時に収入が下がるリスク

自営業者はサラリーマンと違って、病気や怪我で休んでも傷病手当などの国からの補償が少ないのでリスクが高いです。

治療に時間がかかって仕事ができなくなったら、収入がダウンするリスクがあります。

夫婦共働きで片方の収入が落ちても生活に困らないなら、保険で対策する必要はないでしょう。

ただし、家の収入の大半を稼いでいる人や、貯金が少なくて収入が落ちたら生活に支障が出る人は、保険で備えておくべきです。

【年代別】独身者が知っておきたい保険の選び方

独身者が知っておきたい保険の選び方を、20代から50代の年代別にわけて紹介します。

  • 独身20代は最低限どれに入っておくべき?
  • 独身30代は最低限どれに入っておくべき?
  • 独身40代は最低限どれに入っておくべき?
  • 独身50代は最低限どれに入っておくべき?

独身20代は最低限どれに入っておくべき?

独身の20代の方は、医療保険に入っておくことをおすすめします。

20代は貯蓄がまだ少ないことが多いので、病気やケガで入院が長くなったときに、治療費が払えなくなる危険性があります。

実際に、単身世帯の年代別の貯蓄額の統計を見てみると、20代の貯蓄額の中央値は20万円となっています。

参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」

これでは、入院費用がかさむと、貯金が底をついてしまうかもしれません。そうならないためにも、若いからと油断をせずに医療保険に加入しておくことを検討してみてください。

独身30代は最低限どれに入っておくべき?

30代になると、社会での経験も豊富になり、自分のやりたいことを実現するために独立を目指す人も少なくありません。

フリーランスや個人事業主として自由に働くことは魅力的ですが、リスクもあります。

会社員や公務員のように健康保険に加入していると、病気やケガで働けなくなったときに傷病手当金という給付金がもらえますが、個人事業主にはそのような制度がありません。

もし働けなくなったら、収入が急激に減ってしまうでしょう。そんなときに備えて、就業不能保険に加入することをおすすめします。

就業不能保険は、病気やケガで一定期間以上働けなくなった場合に、毎月一定額の保険金を受け取れる保険です。個人事業主の方は、ぜひ検討してみてください。

また、30代は生命保険に加入するのにも適した時期です。生命保険は、加入するのが早いほど毎月の保険料が安くなります。

もしものときに家族や自分自身のために保険金が必要な場合に備えて、生命保険に加入することをおすすめします。

保険金額は自分の状況に合わせて決めても構いませんが、一度見直してみることをおすすめします。

独身40代は最低限どれに入っておくべき?

40代の独身者は、個人年金保険への加入を検討すると良いでしょう。

40代は、老後のことを真剣に考え始める年代です。老後の暮らしに必要なのは「年金」です。しかし、年金の額はどんな仕事をしているかや平均年収によって違いが生じます。

実際に、会社員の平均年収別に年金の額を見てみましょう。

1980年生まれで23歳から60歳まで働いて、65歳から年金をもらうとしたら、年金の額は以下のようになります。

平均年収
年金受給額
300万円
年間135万円
400万円
年間152万円
500万円
年間174万円
600万円
年間195万円
700万円
年間212万円

参考:厚生労働省「公的年金シミュレーター」

平均年収が低ければ、年金の額も少なくなります。また、個人事業主やフリーランスの場合は、年金の額がさらに減ります。そのため、40代以降は個人年金保険への加入を検討すると良いでしょう。

生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、40代の個人年金保険の入っている人(全生保)は男女ともに22.7%です。

40代の4~5人に1人は、個人年金保険に入っているということ。老後のために、40代から個人年金保険に入ることをおすすめします。

独身50代は最低限どれに入っておくべき?

50代という年代は、病気になりやすくなる時期です。中でも、がんは日本人にとって最も恐れられる病気で、死亡原因のトップになっています。

がんになってしまった場合、高額な入院費や治療費がかかります。そんな時に安心できるのが、がん保険です。

生命保険文化センターの「2022(令和4年)年度生活保障に関する調査」によれば、50代の人の約半数ががん保険やがん特約に加入しています。

がんになるリスクが高い50代の人は、治療の自由度を高めるためにも、がん保険に加入することをおすすめします。

あなたに必要な保険の選び方

あなたにあった保険を選ぶためには下記のような点に注意をして選ぶのがおすすめです。

  • 保険が必要なのはいつか
  • 保険金がいくら必要か
  • 保険料は無理のない支払額か
  • いつまで保険料を支払うか
  • 保障期間はいつまでか
  • 解約をした際に返戻金はあるか

どのような保険が必要かはわかったという方も、その他の観点からあなたに合った保障内容の商品を選べるようにしていきましょう。

保険が必要なのはいつか

まず、保険が必要になるのはいつなのかを確認しましょう。

例えば、怪我や病気になってしまった時なのか、不慮の事故や火災で損害が発生した時なのかなど、さまざまなシーンがあります。

懸念されるトラブルがあるのであれば、体調面に不安がある場合には医療保険、運転が多い人は自動車保険など自分に必要な保障が得られる保険を探していきましょう。

また、持病がある場合には、加入に条件が課せられることもあるため加入前に保険代理店等で無料の相談をするのがおすすめです。

保険金がいくら必要か

保険金がいくら必要なのかも大切なポイントです。

仮に入院になってしまった際、支払われる保険金が少ないと治療費を払うことができず、満足のいく治療を受けられないこともあります。

また、治療は受けられても、医療費の支払いで貯金がなくなってしまい生活が苦しくなる恐れもあります。

そのため、万が一の際にどれくらいの保険金を受け取れるのかを確認しておきましょう。

保険料は無理のない支払額か

保険料は月々支払っていくものですが、高額な支払額だと生活が辛くなってしまい、保険料の支払いが滞ってしまう恐れがあります。

いくら充実した保障内容だとしても、保険料が高くて支払えずに解約になってしまうのであれば意味がありません。

そのため、保険料が無理なく支払える範囲で保障内容を充実させていくようにしましょう。

いつまで保険料を支払うか

保険料の支払いがいつまで必要なのかも保険を選ぶ際の大切な観点です。

注意点としては保険料を支払う期間が短ければ、返戻金の金額にも影響がありますが、その分月々の保険料が高くなります。

月々の保険料と払込期間を確認して、無理のない範囲になっているかをチェックしましょう。

保障期間はいつまでか

保険の種類によっては保障期間と保険料の払込期間が異なっている場合があり、保険料の支払いが終わった後でも保障を受けられる場合もあります。

そのような場合は保障期間はいつまでかを確認しておきましょう。

子どもが学校を卒業して独立するまで保障が必要なのか、自分が何歳になるまで保障が必要なのかなどを決めて選ぶと自分に合った保険の種類がより明確になります。

解約をした際に返戻金はあるか

途中で保険が必要なくなって解約をした際や満期になった際に返戻金があるのかどうかも確認しておきましょう。

掛け捨てになってしまう保険もありますが、中には支払った保険料を返戻金として受け取れるものもあります。

そのため、保険への加入と貯金を両立したいという方は返戻金のある保険を選ぶと良いでしょう。

保険へ加入する際の注意点

保険への加入を検討しているという方は下記のような点に注意をしましょう。

  • 健康状態によって加入できない恐れがある
  • 短期解約は返戻金が減ってしまうので要注意

気にせずに契約をしようとすると損をしたり、契約ができない場合があるので要チェックです。

健康状態によって加入できない恐れがある

生命保険や医療保険は健康状態によって加入の可否が左右されます。

例えば、現在治療中の病気があったり、既往症があったりすると健康上の理由から保険の加入を拒否されることもあります。

もちろん、病気があっても加入できることはありますが、内容に制限が設けられてしまい、満足に保険が利用できないこともあるので、注意が必要です。

短期解約は返戻金が減ってしまうので要注意

保険は短期で解約をすることもできますが、返戻金のある保険だと、戻ってくるお金が減ってしまいます。

もちろん、契約してみたら使いにくかったと感じて解約をするのであれば良いですが、支払いが苦しくて解約をする恐れがあるのであれば保険料の支払額を見直しましょう。

まずは契約前にあなたが無理なく支払える金額なのかを検討した上で保険への加入を決めてください。

資産を増やすための方法

保険へ加入をする以外にも資産を増やしてもしもの時に備えるということが大切です。

代表的な資産を増やすための方法には下記のようなものがあります。

  • 副業を始める
  • 給料が上がる職場へ転職をする
  • 資産運用を始める

どれが自分に合っているかを見極めて、実践して将来のために役立ててください。

副業を始める

まず、収入を増やすためには副業を始めてみるのがおすすめです。

副業の種類はアルバイトでも良いですし、自宅でできるパソコンを使った仕事や自分が仕事で培ったスキルを販売するのでも構いません。

自分に合っている副業があれば、まずは小規模から始めてみて徐々に仕事の幅を広げて行っても良いでしょう。

給料が上がる職場へ転職をする

現在の職場の給料が安いという場合には給料が上がる職場へ転職をするというのもおすすめです。

適切な評価を受けられることで仕事へのモチベーションも向上し、より仕事に打ち込むことができるでしょう。

どんどんキャリアアップができれば、給料の大幅アップも狙うことができます。

資産運用を始める

貯金があるという場合には資産運用を行い、口座に預けているだけのお金を増やすということも視野に入れましょう。

投資の知識が乏しくても、現在ではプロが資産の運用を代行してくれる投資信託という商品もあるので、気軽に始めることができます。

また、新NISAやiDeCoなどさまざまな資産運用の制度が登場しているので、こちらも合わせてチェックをしてみてください。

保険についてわからない場合はファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめ

保険についての知識を得られても、結局どの保険が自分に合っているのかわからない方やプランがありすぎて選べないという方もいるでしょう。

そのような場合はファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめです。

専門的な資格を持っており、家計の状況や家族の構成などを加味してプランを組んでもらうことができます。

ファイナンシャルプランナーへ相談するメリット

ファイナンシャルプランナーへ相談するのには下記のようなメリットがあります。

  • 家計の問題点を洗い出してもらえる
  • お金に関する疑問を解決できる
  • 損をしないようにさまざまな制度を知ることができる
  • 自分の生活にあったプランを立ててもらえる
  • 相談場所は事務所や家、カフェなど幅広く対応可能

メリットを理解した上で、相談を検討してみてください。

家計の問題点を洗い出してもらえる

「貯金をすることができない」「収入はあるけど生活が苦しい」という家庭も多くあります。

そのような場合に、ファイナンシャルプランナーへ相談をすることで、どこで支出が多くなっているのか、無駄な費用はないかを確認してもらうことが可能です。

収入と支出のバランスがわかっていないという方は一度相談してみると良いでしょう。

お金に関する疑問を解決できる

ファイナンシャルプランナーは保険はもちろん、税金のことや資産運用のことなどお金に関する幅広い疑問を解決してくれます。

貯金をしたいというような要望にも応えてくれる為、家計に対して不安があるという場合は話をしてみるのも良いでしょう。

ただし、人によっては得意分野があるので、満足のいく回答をもらえない場合もあります。

可能であれば、事前に無料相談をしてあなたの理想的なプランを提案してくれた人に継続して依頼をするのが良いでしょう。

損をしないようにさまざまな制度を知ることができる

所得控除や社会保障の制度などさまざまな公的制度を教えてもらうことができます。

そのため、今までは知らない間に損をしていたという部分を改善することもできるでしょう。

プロの知識を借りて、損のないような生活を目指していきましょう。

自分の生活にあったプランを立ててもらえる

ファイナンシャルプランナーへ相談をする際に自分の収入状況や支出の内容、家族構成などさまざまなものを伝えます。

そのような情報を元に、あなたの家庭に合っているプランを立ててもらうことが可能です。

例えば、保険の支払額を無理のない範囲で設定をすることができたり、貯金に回す金額も適切に設定することができます。

相談場所は事務所や家、カフェなど幅広く対応可能

保険の相談をする際に、保険会社へ直接出向く必要があると面倒だと感じていた方もいるでしょう。

ファイナンシャルプランナーへ相談する場合は事務所だったり、自宅やカフェなどさまざまな場所で対応してもらうことが可能です。

そのため、子どもがいて家からなかなか出られないという場合でも相談ができるのは嬉しいポイントでしょう。

最低限必要な保険に関するよくある質問

最低限必要な保険に関するよくある質問の一覧は下記の通りです。

  • 独身でも保険は必要ですか?
  • 保険を選ぶときのポイントはありますか?
  • 独身の場合、生命保険の受取人はどうすればいいですか?
  • 貯金があれば保険に加入しなくても大丈夫ですか?
  • 健康保険があっても医療保険は必要ですか?

それぞれの回答も記載してあるので、同じような疑問がある方はぜひご覧ください。

独身でも保険は必要ですか?

独身の方は自分が働けなくなってしまった場合に収入がなくなってしまい、生活が困窮してしまう恐れがあります。

そのため、就業不能保険や医療保険などもしもの際に備える保険に加入するのがおすすめです。

共働きでどちらかが働けなくなっても収入があるのであればまだ良いですが、独身の場合は特に上記のような保険の加入を検討しましょう。

保険を選ぶときのポイントはありますか?

保険を選ぶ際には下記のポイントを重視して選ぶのがおすすめです。

  • どのようなことに備えるか
  • 保障の期間はどれくらいか
  • 保険料の支払額はどれくらいか
  • 保険料を支払う期間はいつまでか
  • 保険金をいくら受け取れるのか
  • 解約時にお金は戻ってくるのか

病気や怪我に備える保険もあれば、火災や事故に備える保険もあり、それぞれの目的が異なります。

そのため、あなたの備えたいことは何かを明確にしてから、保険料や期間などのポイントを押さえて選んでいきましょう。

独身の場合、生命保険の受取人はどうすればいいですか?

独身の方は生命保険の受取人を親または兄弟に指定することが多いです。

原則として配偶者または2親等以内であれば受取人の指定ができるため、もしものときは親族に何かを残したいと考える方が多いのでしょう。

貯金があれば保険に加入しなくても大丈夫ですか?

貯金があれば収入がなくなってもある程度の期間は生活をしていけるため、保険に加入しなくても良いと判断する方もいます。

ただし、怪我や病気で働くことができなくなってしまった場合は収入がなくなることに加え、医療費がかかるため貯金があっても危険です。

そのため、貯金や投資によって資産が形成されていても保険に加入しておくことで安心を得ることができるでしょう。

健康保険があっても医療保険は必要ですか?

日本では国民皆保険制度が定められているため、基本的に医療費が3割負担となっており医療保険は必要ないのではないかと考える方もいるでしょう。

しかし、怪我や病気の具合等によっては高額な医療費を請求されてしまい、結果として支払うことができなくなってしまう恐れもあります。

そのため、健康保険があるからといって油断をせず、医療保険への加入して保障を受け取ることができるようにするのもおすすめです。

まとめ:保険料節約のため、保障の必要性を検討して加入する保険を最低限にしよう

ライフステージ別にみると、加入しておくと安心な保険は一般的には次の通りです。

  • 独身世帯:医療保険
  • ファミリー世帯の世帯主:死亡保険と医療保険
  • 老後世帯:終身医療保険

保険料を節約するには、自分に本当に必要な保障だけに限定して加入する保険を選択しましょう。公的保障でカバーできる保障や、安心のための上乗せ保障を思い切ってカットすることがポイントです。

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