独身の老後資金はいくら必要?資金を貯める方法5選も紹介

現在独身で、今後も独身のままである可能性が高い場合、老後のお金が心配になる方もいらっしゃるでしょう。また、老後の資金はどのくらい必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、独身で老後を迎えた場合に毎月いくら必要になるのか、具体的な金額をご紹介します。また、将来受け取れる年金額のシュミレーション方法もご紹介しているため、ぜひ年金予定額をご確認ください。老後資金を形成する5つの方法もご紹介しています。今から準備をすることで、安心して老後を迎えられます。

目次

ゆとりある老後資金の目安はいくら?

老後資金を貯めるために考えるべき点として下記の2点について考えるべきです。
老後に発生する生活費
老後に必要な貯蓄額
それぞれ詳細に解説していきます。

老後に発生する生活費

独身の場合、老後はどの程度の生活費がかかるのでしょうか。結論、必要な生活費は月額20万円程度と言えるでしょう。

総務省によると、高齢単身無職世帯の月間の生活費は約15万円と言われています。日本全体の独身65歳以上の世帯では社会保険給付で12万円程度が収入と言われており、3万円ほどの赤字となってます。

収入(12万円)-生活費(15万円)=-3万円

あくまで、これは日本の平均なので、実際には突然の怪我や病気などで医療費等が発生することを考えると生活費にプラスで5万円ほどの余裕を持っておくべきでしょう。

ここからわかるのは、年金だけでは生活費をまかなえないことがわかります。老後のために、年金以外の収入や資産を形成する必要があります。

引用元:家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要

老後に必要な資金

上記の点から社会保障給付が12万円程度出ることを考えると、自己資金で最低でも月3万円は月に必要であることがわかります。仮に65歳〜95歳までを「老後」とする場合、以下の計算をした場合、1080万円は必要であることがわかります。

3万円×12ヶ月×30回=1080万円

ただ、あくまでゆとりある生活を送るために必要な資金が2880万円ということになります。生活費を削る等の努力をすれば、必要な貯蓄額は変わるものと思われます。

老後にかかる可能性がある費用

食費や消耗品費以外にも老後に必要となる費用があるので、そちらも確認していきましょう。

  • 介護費用
  • 住居費用
  • 葬儀費用・お墓の購入費用

かかる可能性のある費用を把握しておくことで将来いくらの貯金が必要なのかを把握することができるので、チェックしておいてください。

介護費用

身体の状態や精神の状態によっては介護が必要で、訪問介護などのサービスを利用することもあります。

介護サービスを利用するのにもお金がかかりますが、介護用のベッドの購入や住宅内に手すりを取り付けたり、段差を減らす作業をしたりするとさらにお金がかかります。

生命保険文化センターが実施している生命保険に関する実態調査では下記のような結果が出ています。

費用
金額
毎月の平均介護費用
8.3万円
一時的な介護費用平均
74万円
平均介護期間
61.1か月

8.3万円×61.1ヶ月+74万円で計算をするとおおよそ581万円が必要だとわかります。

そのため、介護費用は600万円以上用意しておくのが良いでしょう。

住居費用

賃貸の家に住んでいる場合や購入した住宅のローンが残っている場合は住居費用の支払いが必要です。

また、水回りや壁、床などが老朽化してくる恐れもあるのでそのメンテナンス費用もかかります。

介護付きの老人ホームや高齢者向けの住宅への入居を検討している方は入居時にまとまった費用が必要になるので、そちらも考慮しておきましょう。

葬儀費用・お墓の購入費用

自分が亡くなった際の葬儀費用やお墓の購入費用も想定に入れて老後の資金を貯めておく必要があります。

第6回お葬式に関する全国調査によると、葬儀では平均で下記のような費用がかかります。

費用
金額
基本料金
75.7万円
飲食費
20.7万円
返礼品費
22.0万円
総額
118.5万円

また、お墓の購入代金は125万円ほどが平均と言われているため、118.5万円+125万円で243.5万円が必要です。

お墓を建てるのではなく、納骨堂に納めるなど費用を安くする方法はあるので、生前にしっかりと検討しておきましょう。

老後の生活のシミュレーション

老後の生活ではどのくらいの費用がかかるのかを平均額からシミュレーションしていきましょう。

下記の表は統計局が行なっている「2023年 家計調査 / 家計収支編 単身世帯」の結果から算出された月々かかっている費用の平均です。

費用
金額
食費
41,078円
住居
13,240円
水道光熱費
14,488円
家具・家事用品
6,457円
被服及び履物
3,550円
保健医療
8,347円
交通・通信費
17,517円
教養娯楽
16,550円
その他の消費支出
31,517円
合計
152,744円

平均で152,744円がかかる計算ですが、ここに保険料の支払いや税金の支払いが加算されるため、もう少し資金が必要だと分かります。

年金の平均受給額

厚生労働省年金局が公表している令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況によると老齢年金の平均受給額は143,973円となっています。

前述した老後の生活にかかる費用の平均は152,744円なので、毎月約8800円ほどの赤字が出る計算になります。

年間にすると約105,000円となり、令和4年簡易生命表の概況によると男性の平均寿命が81.05歳、女性の平均寿命が87.09歳なので、年金受給からおよそ25年ほどは寿命があることを考慮しても262万円ほどの資金が必要です。

おひとりさまでゆとりある老後資金形成方法5選

「年金見込額を確認したけれど、独身で老後を乗り切るには少ないかも」と不安になるかもしれません。年金見込額を確認した段階で、老後の資産形成を始めれば遅くはありません。今から始められる資産形成方法として、次の5つをおすすめします。

  1. 定年後も就労継続できる体制を整える
  2. 公的年金を繰り下げて受給額の増額に繋げる
  3. iDeCo(イデコ)の節税メリットを活用する
  4. NISAを利用して預貯金以外の資産を形成する
  5. 固定費を見直して無駄な出費を減らす

老後のために貯金をしているおひとりさまもいらっしゃいますが、貯金だけでは老後を乗り切ることは難しいです。より積極的に、資産を増やす方法を取り入れ、貯金とダブルで老後資金を計画的に形成しましょう。5つの方法について、以下で詳しくご説明します。

①定年後も就労継続できる体制を整える

定年後も働き続けられる体制を、今のうちに整えておきましょう。より長く働いて収入を得て、年金をあてにせず生活できる期間を先に延ばすと、老後にゆとりが持てます。現在、企業には定年後65歳まで就業できるように努力する義務があります。

さらに、2021年4月からは望めば70歳まで働けるように、政府が企業に努力義務を課しているので、老後も働くことが可能です。お勤めの場合は、勤務先が高齢者の働きやすい職場を作っているか、高齢者の雇用継続を行なっているかをあらかじめ調べておきましょう。

②公的年金を繰り下げて受給額の増額に繋げる

公的年金の受給を繰り下げることで、年金受給額を増やすことができます。年金の受給開始年齢は65歳です。しかし、年金受給を1カ月遅らせるごとに、受給額が0.7%アップします。たとえば、10カ月遅らせると受給額が7%増え、増額した年金をその先ずっと受け取れます。

年金受給は最大5年遅らせることができるので、70歳まで年金を受け取らない場合、年金の増額分は42%です。5年間延ばすだけで、本来の年金額の1.42倍の年金を受給できます。就業や資産運用で収入を得て、年金無しで70歳まで乗り切れると、老後が楽になります。

③iDeCo(イデコ)の節税メリットを活用する

自分で作る年金として知られる個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、節税メリットが3つもあり、老後の資産形成に大きく役立ちます。3つの節税メリットは以下に挙げるとおりです。

  • 毎月の掛金が全額所得控除の対象になる
  • 運用益はすべて非課税となる
  • 一時金として受け取ると退職所得控除の対象になる

iDeCoは、公的年金にプラスして将来の受け取れる年金を増やせるだけではなく、節税もできるお得な制度です。節税メリットを最大活用すると、コストを削減でき、より効率的に資産を増やせます。

④NISAを利用して預貯金以外の資産を形成する

NISAを利用して投資運用を行ない、預貯金以外の資産を形成することが重要です。銀行に預金をしていても金利が低く、資産形成という面では預貯金に頼ることはできません。また、資産が預貯金のみの場合、インフレーションに対応できないおそれがあります。

NISAなら、5年間はNISA口座で購入した金融商品の運用益や譲渡益、配当はすべて非課税です。NISAで節税しながら、複利効果が狙えるポートフォリオをきっちりと構築しておくことで、万一のインフレに耐えうる資産を形成できます。

⑤固定費を見直して無駄な出費を減らす

現役の間に、無駄な出費を減らしましょう。特に見直したい出費は、固定費です。固定費は毎月支払う金額なので、いったん削減すると毎月の出費が減り、楽に節約できます。固定費の中でも、保険料や、通信費、電気光熱費をまず見直してください。

不要な保険に加入して割高な保険料を払っていませんか。スマートフォンの月額料金が高い場合は、割安プランや格安スマホに切り替えることもできます。電力の自由化により、料金が安い電力会社を選ぶと、電気使用量は変えずに料金を安く済ませられます。

将来受給できる年金額をシュミレーションしよう

「毎月、年金保険料を納めているけれど、将来いくらもらえるのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。年金受給見込額は、「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で確認できます。

「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」について、以下で詳しくご説明します。なお、年金についてよりトータルに調べたい場合は、日本年金機構にアクセスしてください。「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」はもちろん、その他の手続きなども確認できます。

ねんきん定期便|誕生月に届く公的年金の通知書

「ねんきん定期便」は、毎年誕生月に郵送される公的年金の通知書です。誕生月までの、納付済年金の累計額や、年金加入期間、その時点までの加入実績による年金見込額が記載されています。

なお、35歳、45歳、59歳の誕生月には、より詳細な年金関連情報を記載したねんきん特別便が封書で送付されます。それ以外の誕生月はハガキのねんきん特別便です。毎年の年金特別便はもちろん、節目年齢のねんきん特別便は特に、記載の誤りや漏れがないかを細かく確認しておきましょう。

ねんきんネット|年金記録や見込額をWEB上で確認できるサービス

「ねんきんネット」は、自分の年金記録や受給見込額をWEB上で確認できるサービスです。ねんきん定期便は1年に1回のみの送付ですが、ねんきんネットなら1年中いつでも自分の記録を調べることができます。

基礎年金番号と、ねんきん定期便に記載されたアクセスキー(有効期限3カ月)を用いて登録すると、すぐにサービスが利用できます。アクセスキーの有効期限が切れた場合も、ねんきんネット上で簡単な手続きをすると使えるので、お試しください。スマートフォンでも登録や年金記録一覧、年金見込額の確認ができます。

独身での老後資金に関するよくある質問

Q1. 独身で老後にゆとりのある貯蓄額はいくらですか?

65歳から95歳までの30年間を「老後」とする場合、2880万円ほどの貯蓄をすることでゆとりある生活を送ることができます。
月の生活費に必要な金額が20万円程度必要になります。社会保険料が月に12万円ほど出ることを考えると8万円を自己負担する必要があるため、360ヶ月分の必要性から2880万円という結果になします。

Q2. 70歳一人暮らしの貯蓄額はいくらですか?

70歳での貯金額は500万円程度が日本の平均水準と言われています。

総務省の調査によると70歳一人暮らしの貯蓄の中央値は485万円と言われています 。一方で平均値は1433万円と、中央値よりも大きな乖離があります。
引用元:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」

Q3.60代女性が一人暮らしをするにはいくら必要ですか?

結論、1000万円程度と考えられます。
金融広報中央委員会の60代の平均金融資産保有額は1388万円となっており、驚く方もいるかもしれません。ただ中央値でみると300万円となっております。
ただ、近年の格差の広がりを考えると、少なくとも1000万円程度は必要であると考えられます。

引用元:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」

Q4. 60代で貯金ゼロの人はどのくらいいる?

金融広報中央委員会の調査によると、60代で貯金が0の人は28.5%存在するそうです。世帯全体で見た場合でも貯金0の割合が最も大きく、次に多いのが16.9%を占める「貯蓄額3000万円以上」の世帯になっています。
引用元:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」

まとめ:老後のお金を計画的に準備すればシングルでも怖くない!

今回は、独身の老後に必要な資産についてご説明しました。以下の3つのポイントをおさえておきましょう。

  • 老後の生活費は、年金だけでは不足するおそれがある
  • 自分の年金見込額を知っておく必要がある
  • 今から資産形成することで、老後の必要分をまかなえる

おひとりさまで老後を迎える場合、お金の面で不安になることが多いです。しかし、自分の年金見込額を確認し、老後に必要な資産を今から準備すれば、問題ありません。本記事でご紹介した5つの資産形成方法を実行して、安心できる老後を迎えてください。

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