iDeCoで手数料負けするケースとは?防ぐための方法や手数料の種類を詳しく解説!

私的年金制度のひとつである個人型確定拠出年金iDeCoは知ってる人も多いでしょう。

老後の資金づくりために利用しようと検討している人もいるのではないでしょうか。

本記事では、iDeCoにかかる手数料の詳細や手数料負けしてしまう具体例も徹底解説します。
手数料負けしないためにすべきことも分かりやすく紹介しますので、取り入れてみると良いでしょう。

この記事を読めば、iDeCoで手数料負けして損するケースを防ぎながら老後の資金づくりができます。

ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。

目次

iDeCoの運用には手数料が必要!

資産運用として注目されているiDeCoですが、運用にはさまざまな手数料が必要です。
以下で詳しく手数料の種類を紹介します。

  1. 加入者手数料
  2. 事務委託手数料
  3. 加入・移換時手数料
  4. 口座管理手数料
  5. 信託報酬
  6. 給付手数料
  7. 還付手数料

加入者手数料

iDeCoには加入者手数料として105円が必要です。

月払いの場合は12ヶ月分必要なので年間1,260円ですが、年払いの場合は105円のみです。

年単位拠出を利用すれば、その分加入者手数料を減らせるので、できれば年払いが望ましいでしょう。

事務委託手数料

iDeCo加入には事務委託手数料がかかります。

事務委託手数料は、運用している間に毎月かかってしまう手数料で、信託銀行に対し66円程度かかります。年間で約800円と覚えておきましょう。

毎月額はそんなに高くなく、気にならない人も多いですが、掛け金が低ければ掛け金に対する比率は高くなるので注意が必要です。

加入・移換時手数料

iDeCoには加入のときや​​​​企業型確定拠出年金から移換するときに手数料が必要です。これは初回手続き時に必要で、どの金融機関を選んでも2,829円です。

これは必ずかかる費用かつ金融機関を選ぶ必要がないので、必要経費と思っておいて大丈夫です。

しかし、すでに加入しており、移換する場合は移換時のみ無料の金融機関もあるので、チェックしておくと良いでしょう。

口座管理手数料

iDeCoには口座管理手数料がかかります。口座管理手数料も運用している間に毎月かかるので注意が必要です。

金融機関によっては無料のところもあり、手数料を抑えられる場合があります。相場は毎月0円〜450円と考えておくと良いでしょう。

相場に大きな差があり、毎月かかる費用なので、特に気をつけて比較する必要があります。

信託報酬

iDeCoに限らず投資信託に全てかかるのが信託報酬といわれる手数料の一種です。

投資信託の運用や管理に支払う報酬で、保有する投資信託から毎日一定率分を差し引かれます。

信託報酬は運用する投資信託によって変わるので、チェックしておきましょう。毎日差し引かれるため、シュミレーションした場合に参考にすることがおすすめです。

給付手数料

給付手数料とは、60歳以降にiDeCoで運用した資金を受け取る場合にかかる手数料です。資金を1回受け取るごとに440円かかります。

給付手数料は受け取りの話なので、まだ先の人が多いですが、受け取るごとに必要なため、受け取る回数を減らすと単純に手数料の負担が減らせます。

年に1〜6回自由に受け取り回数を決められる金融機関が多いため、将来受け取る際に少なくできるように覚えておきましょう。

還付手数料

iDeCoは還付手数料がかかります。

還付手数料とは、掛金が還付されたときに発生する手数料のことです。

還付金が発生するのは以下のとおりです。

  • 国民年金保険が未納であるのに拠出されていた
  • 拠出限度額を超える掛金が拠出されていた
  • iDeCoの加入資格がない人が拠出していた

還付手数料は、還付が発生する度に国民年金基金連合会に支払う1,048円と、信託銀行に支払う440円の合計1,488円が差し引かれます。

年間にすると大きな金額となってしまうので、還付金が発生しないように気をつける必要があります。

iDeCoで手数料負けしてしまうケースとは?

ここからは、iDeCoで手数料負けしてしまう場合を紹介します。

さまざまな要因が重なり手数料負けしてしまう場合がありますので、工夫をしながら掛け金の決定や金融機関を選ぶ必要があります。

  1. 所得と掛け金のバランスが悪い
  2. 手数料が割高の金融機関を選んでしまっている
  3. 利回りの悪い商品を選んでしまっている

所得と掛け金のバランスが悪い

所得と掛け金のバランスが悪いと手数料負けしてしまう場合があります。

iDeCoで積み立てた掛け金は全額が所得控除の対象になり、節税効果がありますが、掛け金が少なすぎると注意が必要です。

掛け金が少ないと節税できる金額より手数料で支払う金額が上回ってしまう場合があります。

例えば、月払い5,000円の掛け金の場合、加入者手数料105円支払うと掛け金の2.1%に対し、月払い10,000円の場合は、加入者手数料の105円の割合は1.05%です。

所得と掛け金から節税できる金額や手数料の比率を割り出して、バランスの良い掛け金を設定しましょう。

手数料が割高の金融機関を選んでしまっている

手数料が割高の金融機関を選んでしまっているケースがあります。

手数料はそれぞれ金融機関によって違い、それを見落とすと大きな差になるため必ずチェックしておきましょう。

加入時手数料など、どの金融機関も一定のものもありますが、口座管理手数料など手数料が金融機関によって違うものがあり、積み重なって手数料負けしてしまいます。

手数料を各金融機関でしっかりと洗い出し、手数料の合計が少ない金融機関を選びましょう。

利回りの悪い商品を選んでしまっている

利回りの悪い商品を選んでしまっていると手数料が嵩み、元本を下回る恐れがあります。利回りは運用額や運用する年数によっても影響を受けるため、シュミレーションを利用すると確実です。

例えば、毎月10,000円を30年運用した場合の運用利益は以下のとおりです。
利回り
運用利益
1%
593,284円
3%
2,187,130円

iDeCoは投資の一種なので運用利回りが大きければ、利益は大きくなり、その差は歴然です。

利回りが低いと感じた場合は、商品ごとに運用利回りを確認し運用先を変更するのも視野に入れると良いでしょう。

手数料負けをしないためにするべきこと

ここでは、iDeCoで手数料負けしないためにすべきことを紹介します。できるだけかかるコストを減らし、賢く利用しましょう。

  1. 口座管理手数料が安い金融機関を選ぶ
  2. 年払いにして加入者手数料を抑える
  3. 掛け金を小額にしない
  4. 手数料負けしない運用益を把握してiDeCoを始める
  5. iDeCoと住宅ローン控除を併用する

口座管理手数料が安い金融機関を選ぶ

口座管理手数料が安い金融機関を選びましょう。口座管理手数料は、金融機関によって金額が異なります。

毎月支払う手数料なので、ここで抑えるだけでも大きな差になるので気を付けましょう。

口座管理手数料が無料の金融機関をチェックすると良いです。

年払いにして加入者手数料を抑える

掛け金を年払いにして加入者手数料を抑えると手数料負けを防げます。

iDeCoでは、掛金を拠出する都度、国民年金基金連合会に105円を支払う必要があります。

月払いの場合、年間で1,260円の費用がかかりますが、年払いにすることでこの費用を11回分抑えられます。

掛け金を小額にしない

掛け金を小額にしないことで手数料負けを防げます。

掛け金を小額にすることで利回りが減ってしまい、せっかく増えた利回りが手数料より下回ってしまうからです。

掛け金を増やせばその分利回りも増え、安定して手数料より多い利回りが得られて資産額を増やます。

無理をしないことが大切ですが、できるだけ掛け金は小額にしないことを心がけましょう。

手数料負けしない運用益を把握してiDeCoを始める

手数料負けをしてしまわないように事前に、どのくらいの運用益があれば良いのかを把握してからiDeCoを始めるようにしましょう。

運用期間や掛け金、利回りなどの条件を仮定した上でシミュレーションを行なってください。

事前にシミュレーションしておいて、どのくらいの運用益があればいいかがわかっていれば、商品選びの参考にもなるでしょう。

iDeCoと住宅ローン控除を併用する

iDeCoが所得控除であることに対し、住宅ローン控除は税額控除のため、2つを併用することで節税を行うことも可能です。

節税をすることで、本来払う分の税金が手元に残り、少しの手数料の負け額が出ても実質負けにはなりません。

国の制度で控除が利用できるものはどんどん活用していくようにしましょう。

iDeCoを30年間継続した際のシミュレーション

iDeCoを30年間継続した際にかかる手数料と控除額についてシミュレーションしました。

  • 30年間でかかる手数料のシミュレーション
  • 30年間で受けられる控除額のシミュレーション

どのくらいの恩恵が受けられるのか分からないという方はぜひここでチェックしていきましょう。

30年間でかかる手数料のシミュレーション

まず、iDeCoを利用する上で発生する手数料の種類は下記のとおりです。

手数料の種類
金額
加入者手数料
105円/年
事務委託手数料
66円/月
加入・移換時手数料(初回のみ)
2829円
口座管理手数料
200円/月
信託報酬
1%

毎月15000円の掛け金を拠出し、利回りが3.0%だった場合はおおよそ9113円の利益が出ていると仮定した場合は30年間で下記のような手数料が発生します。

加入者手数料3,150円 + 事務委託手数料23,760円 + 加入・移換時手数料2,829円 + 口座管理手数料72,000円 + 信託報酬32,760円 = 134,499円

口座管理手数料や信託報酬に関しては企業や運用する商品によって異なりますが、大体15万円前後の手数料がかかると思っておくと良いでしょう。

30年間で受けられる控除額のシミュレーション

年収が500万円で毎月15000円を掛け金として拠出、利率は3.0%と仮定した際に1年間受けられる控除額は下記のとおりです。

税の種類
控除額
所得税
18,300円
住民税
18,000円
合計
36,300円

こちらの数字を元に、30年で受けられる控除額を計算すると1,084,200円分の控除を受けることができます。

iDeCoの金融機関選びにおける手数料以外のポイント

iDeCoの金融機関を選ぶ際に手数料以外で重視するべきポイントをご紹介します。

  • 取り扱い商品が充実しているか
  • アフターフォロー・サービスが充実しているか

将来のために備えるもののため、失敗しないようにあなたに合っている金融機関を選べるようにしていきましょう。

取り扱い商品が充実しているか

iDeCoを運用する上でどのような商品を取り扱っているのかは利回りや信託報酬に関わってくるポイントなので、重視しましょう。

例えば、利回りの悪い商品ばかり取り揃えていても、運用をする際に手数料を取られてしまい将来の資金の足しにならない恐れがあります。

そのため、できる限り多くの商品を取り扱っており、手数料を抑えられる金融機関を選ぶのがおすすめです。

アフターフォロー・サービスが充実しているか

iDeCoの口座を開設する金融機関を選ぶ際にアフターフォローやサービスがしっかりしているのかも大きなポイントです。

iDeCoを運営している金融機関によっては資金管理ができるアプリを提供していたり、専門家による資産運用の基礎が分かるセミナーを開いていたりと利用者にさまざまなサービスを提供していることがあります。

契約したから終わりというわけではなく、その後も利用しやすいようにサービスの展開やアフターフォローをしてくれるのかは事前に確認しておきましょう。

iDeCoを始める際の手順

iDeCoを始める際には下記の手順に沿って手続きを進めていきます。

  1. 加入する資格があるかチェックする
  2. 毎月の掛金をいくらにするか決める
  3. 運用する商品を選択する
  4. 金融機関で口座開設をする

始める手順がわからなかったという方は1つずつ解説するので、確認していきましょう。

①加入する資格があるかチェックする

まず、iDeCoに加入する資格があるのかどうかをチェックしましょう。

国民年金の免除や猶予を受けていたり、公的年金を受給していたりすると加入できないため注意しましょう。

他にも加入の条件があるので、詳しい条件は問い合わせて自分は当てはまっていないかを確認するのがおすすめです。

②毎月の掛金をいくらにするか決める

加入の条件を満たしていた場合、毎月いくらの掛け金を支払うのかを決めていきましょう。

掛け金は月々5000円以上1000円単位で指定することができ、任意の月に1年間分をまとめて拠出することも可能です。

掛け金は年に1度だけ金額を変更することができるため、収入状況に応じて掛け金額を調整していきましょう。

③運用する商品を選択する

任意の運用する商品を選び、実際に運用を開始する準備をします。

前述したとおり、購入する商品によって利回りや信託報酬が異なるので、それぞれチェックした上で商品を決めるのが良いでしょう。

④金融機関で口座開設をする

運用する商品が決まったら金融機関で口座開設の手続きを行います。

加入を検討している金融機関より取り寄せている書類に必要事項を記入して返送することで、口座開設の手続きを行うことが可能です。

口座開設が正常に完了すると、指定の口座より掛け金が拠出され、運用が開始します。

お金に関する悩みはファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめ

「将来の資金に不安がある」「なかなか貯金ができなくて困っている」などお金に関する悩みを抱えている方も多くいらっしゃるでしょう。

そのような場合はファイナンシャルプランナーへ相談をするのもおすすめです。

家計の見直しや保険の見直し、資産運用のアドバイスなどお金に関することを幅広く教えてもらうことができます。

iDeCo・手数料負けに関するよくある質問

iDeCo・手数料負けに関するよくある質問を一覧にしてまとめました。

  • 所得が少ない人はiDeCo・NISAのどちらが適していますか?
  • 専業主婦はiDeCoで手数料負けしやすいですか?
  • 少額でiDeCoを始めるのは無意味ですか?
  • 手数料の安い証券会社に乗り換えるべきですか?
  • iDeCoの手数料を支払うタイミングは?
    • 同じような疑問を持っているという方はぜひチェックしていきましょう。

      所得が少ない人はiDeCo・NISAのどちらが適していますか?

      所得が少ない場合はNISAの方が適しています。

      iDeCoは年金のため長期にわたって積立をすることが前提で、基本的に60歳を超えるまでお金を受け取ることができず、急な病気や怪我に対応することができません。

      一方NISAであれば、好きなタイミングで引き出しができ、iDeCoと同様に運用益が非課税となっているので、税制上の優遇も受けることが可能です。

      専業主婦はiDeCoで手数料負けしやすいですか?

      専業主婦は収入がないことによって所得控除を受けることができないため、手数料負けをする確率は比較的高いと言えるでしょう。

      しかし、他の加入者同様に運用益の非課税や受け取り時の控除を得られるため、最終的には手数料負けをすることなく、損がないようにお金を受け取れる可能性の方が高いです。

      そのため、適切な商品選びや金融機関選びをすることが大切になるので、色々な観点で比較をして納得のいく契約をできるようにしましょう。

      少額でiDeCoを始めるのは無意味ですか?

      月の掛け金が少額であったとしても、税制上の優遇を受けられることに変わりはないので無意味ではありません。

      上手く運用をすることができれば、銀行に預けておくよりも将来の資産を確保できる可能性があるのでお得と言えるでしょう。

      まずは手数料負けをしてしまわないように、利回りの良い期待ができる商品を選んでいくことが大切です。

      手数料の安い証券会社に乗り換えるべきですか?

      iDeCoを利用する際、契約をした後に手数料の安い証券会社に乗り換えたいと考える方もいるでしょう。

      手数料の安い証券会社に乗り換えることでコストが抑えられるようにも見えますが、実際には口座を変更する手数料や資金を移動する手数料がかかってしまいます。

      そのため、乗り換えを行うと実質的に多くの手数料がかかるので、手数料負けのリスクが高まります。

      それでも乗り換えを検討したいという方はどのくらいの手数料がかかるのかを計算しておきましょう。

      iDeCoの手数料を支払うタイミングは?

      加入者手数料や事務委託手数料、口座管理手数料、信託報酬に関しては毎月支払う形となっています。

      ただし、加入者手数料に関しては年額をまとめて支払うことで大幅に安くすることができるため、年に1度の支払いタイミングがあると覚えておくと良いでしょう。

      加入・移換時手数料に関しては口座を開設したときや移動した時にかかる手数料なので、1度きりかかるものとなっています。

      まとめ:将来のためにも手数料は要注意

      本記事ではiDeCoで手数料負けしてしまう原因や対策を紹介しました。

      お金を増やすことが目的であるのにも関わらず、利益より手数料が上回ってしまっては意味がありません。

      iDeCoは将来の老後生活の資産を形成できる非課税で投資できる有益な商品です。注意点を理解し、ぜひ、将来に向けて投資を始めましょう。

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