iDeCo(イデコ)はやらないほうがいいといわれる理由は?デメリットおすすめな人の特徴を解説!

税金の優遇措置を受けながら資産を有効に増やすことができるiDeCo。興味があっても「iDeCoはやらないほうがいい」という声を聞いて心配になっている方も多いでしょう。

この記事では、iDeCoのメリットやデメリットを始め、制度の特徴やポイントについて徹底解説します。

「iDeCoを始めると厚生年金が減るのでは?」と心配な方は、ぜひ参考にしてください。

目次

<h2>iDeCoはやらないほうがいい?考慮すべきデメリット7選</h2>

老後資金を確保するための制度として誕生したiDeCo(イデコ)。

<ul>

<li>「iDeCoはおすすめしない」</li>

<li>「iDeCoだけはやめとけ」</li>

<li>「iDeCoにはデメリットしかない」</li>

</ul>

というマイナス意見が見られる一方、「やらないと損」というプラス意見もあり、iDeCoを始めるべきか迷う方もいることでしょう。

iDeCoのデメリットとして、以下の7つが挙げられます。

<ul>

<li>基本的に60歳まではお金を引き出せない</li>

<li>価格の変動によるリスクが存在する</li>

<li>iDeCoは手数料が必要</li>

<li>受け取り時に税金の負担があるかもしれない</li>

<li>自分で金融機関や商品を選択する必要がある</li>

<li>投資できる金額に上限がある</li>

<li>そもそも誰にでも参加できるわけではない</li>

</ul>

まずは、なぜ「やらないほうがいい」と言われることがあるのか把握しておきましょう。

<h3>デメリット①基本的に60歳まではお金を引き出せない</h3>

iDeCoは将来の資産づくりを目指す制度であるため、基本的に60歳までお金を引き出すことができません

※10年未満の加入実績では、支給年齢が最大65歳まで繰り下げられます。

参考:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」

iDeCoは自分の都合でいつでもやめられる制度ではないということを把握して、加入するかどうかを慎重に考えましょう。

<h3>デメリット②価格の変動によるリスクが存在する</h3>

iDeCoで資産運用を行う場合は、以下のいずれかを選んで運用していきます。(複数選択可能)

<ul>

<li>保険</li>

<li>定期預金</li>

<li>投資信託</li>

</ul>

金融商品にはそれぞれリスクがつきものですが、元本が保証される定期預金や保険にはリスクがほとんどありません。

一方で、投資信託にはいくつかのリスクがあり、その中の1つが「価格の変動によるリスク」です。

価格の変動によるリスクとは、株式や債券などに投資した際に、毎日の資産額が変わることです。リスクの度合いは投資する株式や債券の種類によって異なります。

リスクが高ければ収益も高くなりますが、逆にリスクが低ければ収益も低くなるため、商品選びの際は慎重に行うことがポイントです。

<h3>デメリット③iDeCoは手数料が必要</h3>

iDeCoに加入すると、大きく分けて以下3種類の手数料支払い義務が生じます。

<ul>

<li>国民年金基金連合会に支払う費用</li>

<li>運営管理機関(金融機関)に支払う費用</li>

<li>金融商品を持つことで発生する費用</li>

</ul>

国民年金基金連合会に支払う手数料一覧
加入・移行費用2,829円(最初の1度のみ)
掛金収納時費用105円
返還費用1,048円

参考:iDeCo公式サイト「加入希望者の方へ」

上記の表は国民年金基金連合会に払うもので、運営管理機関への費用は金融機関によって異なります。

iDeCoは掛金や移管があるたびに手続き費用がかかります。すべて自分で払うことになるため、加入を検討されている場合はあらかじめ準備しておきましょう。

<h3>デメリット④受け取り時に税金の負担があるかもしれない</h3>

iDeCoの拠出金は全額所得から差し引かれますが、受け取り時に税金の負担があるかもしれません。

一括で受け取ると退職所得の控除が使えるほか、年金で受け取ると公的年金などの控除が適用されます。しかし、途中解約をすると税金がかかる場合もあるので注意しましょう

<h3>デメリット⑤自分で金融機関や商品を選択する必要がある</h3>

iDeCoは自分で金融機関及び商品を決めて運用を委託する制度です。運用開始までにやるべきことが多いため、初めての方にとって荷が重いというデメリットがあります。

iDeCoは選択肢が多い分、自分でやらなければならないことがたくさんあり、会社が書類や手続きをサポートしてくれる企業型に比べると大変さが増します。

<h3>デメリット⑥投資できる金額に上限がある</h3>

iDeCoでは毎月5,000円から1,000円単位で金額を決められますが、どのような立場で加入するかによって投資できる金額に上限があります。

加入資格拠出限度額
第1号被保険者・任意加入被保険者(自営業・個人事業主・フリーランスなど)68,000円/月 (816,000円/年)
第2号被保険者企業年金の制度がない会社員23,000円/月(276,000円/年)
企業型の確定拠出年金だけに加入している会社員20,000円/月
DBと企業型確定拠出年金の両方に加入している会社員12,000円/月
DBだけに加入している会社員や公務員12,000円/月(144,000円/年)
第3号被保険者(専業主婦(夫))23,000円/月(276,000円/年)

参考:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」

上限額はあくまでも目安で、必ずこの金額まで掛ける必要はありません。上限を超える金額は投資できないため、大きな投資をしたい方にとっては不利になることもあるといえます。

<h3>デメリット⑦そもそも誰にでも参加できるわけではない</h3>

iDeCoは、以下4つのうちどれかに該当する方は参加できません。

<ul>

<li>国民年金保険料の支払いがない方</li>

<li>65歳以上の方</li>

<li>企業型DCの「マッチング拠出」を受けている方</li>

<li>農業者年金加入の方</li>

</ul>

<h4>国民年金保険料の支払いがない方</h4>

国民年金保険料の支払いがない方は、iDeCoに参加できません。支払いがないだけでなく、免除や猶予の状態にある方の加入も認められていません。

しかし、過去に支払いがなかったり免除の経験があったとしても、今現在支払いをしている場合は参加可能です。

<h4>65歳以上の方</h4>

65歳以上の方はiDeCoに参加できません。つまり、64歳以下なら参加できますが、年齢が上がるとiDeCoを活用できる時間は短いです。

老後のお金として考えると、できるだけ早い時期に参加したほうが節税などの利点をたくさん受けられます。

<h4>企業型DCの「マッチング拠出」を受けている方</h4>

2022年10月の法律の変更で、企業型DCに参加している社員は一定の要件をクリアすれば加入できるようになりました。

参考:りそな銀行「企業型DC加入者もiDeCoに入れる?2022年 iDeCoの法改正を解説!!」

しかし、マッチング拠出を受けている方は、依然としてiDeCoに参加できないためご注意ください。

<h4>農業者年金加入の方</h4>

iDeCoは農業者年金の方には開放されていません。農業者年金とは65歳以下で年間60日以上農業に従事する方が対象の確定拠出年金のことで、iDeCoの対象者ではありません。

<h2>iDeCoはやらないほうがいい?職種別の欠点</h2>

iDeCoは職業によって別々のデメリットがあります。それぞれの職種について、具体的なデメリットを紹介します。

<ul>

<li>公務員のデメリット</li>

<li>会社員のiDeCo加入はデメリットしかない?</li>

<li>専業主婦のiDeCo加入はデメリットしかない?</li>

</ul>

それぞれについて詳しく解説するので、理解を深めておきましょう。

<h3>公務員のiDeCo加入はデメリットしかない?</h3>

公務員は月々の掛金上限が12,000円と非常に低いです。掛金が少ないと、もらえる年金資産が少なくなりますし、所得控除や運用益非課税の恩恵も少なくなってしまいます。

iDeCoは掛金の額に関係なく一定の手数料がかかるため、公務員はiDeCoのメリットをあまり実感できないかもしれません。

ただし、公務員の掛金の上限は、2024年12月から2万円に上がります。これからは公務員もiDeCoの利点を享受しやすくなることでしょう。

参考:iDeCo公式サイト「2022年の制度改正について」

<h3>会社員のiDeCo加入はデメリットしかない?</h3>

会社員におけるiDeCoの掛金上限は、会社が企業年金を導入しているかどうかで変わります。

したがって、iDeCoに入っている状態で転職した場合は、掛金の上限額が変わる可能性があります

さらに、iDeCoはポータビリティ制度がありますが、移管するときには資産を一括で売却しなければなりません。

そのため、売ったり買ったりすることで、市場の変動に左右されやすくなる点に注意が必要です。

<h3>専業主婦のiDeCo加入はデメリットしかない?</h3>

iDeCoにおけるメリットの1つとして、掛金がすべて所得控除になり所得税や住民税が減る点にあります。

ところが、専業主婦は収入がなく所得税や住民税がかからないため、iDeCoの利点を最大限に享受できない可能性があります

<h2>iDeCoはやらないと損?メリットを紹介</h2>

iDeCoはデメリットばかりではなく、メリットもたくさんあります。税金の優遇を享受しながら、長期間にわたって資産を増やせる魅力的な制度です。

iDeCoの利用を検討されている場合は、メリットについて目を通しておきましょう。

<ul>

<li>節税効果が期待できる</li>

<li>転職・退職しても資産運用が可能</li>

<li>運用が楽</li>

<li>受け取り方を選択できる</li>

</ul>

デメリット・メリットの両方を理解した上で、活用するか検討することをおすすめします。

<h3>メリット①節税効果が期待できる</h3>

iDeCoは、所得控除によって所得税や住民税が減らせる上、普通なら運用益に約20%の税金が課されるところも免税になるため、節税効果が大きいといえます。

iDeCoでは受給開始年齢になった際に1度にまとめてもらうか、定期的に年金としてもらうかを選べます。

一括でもらう場合は退職所得として控除が適用され、年金でもらう場合は公的年金などと同じ控除が適用されるため、受け取り時の税金も抑えられるのが特徴です。

<h3>メリット②転職・退職しても資産運用が可能</h3>

iDeCoには、ポータビリティという他の個人年金制度に資産を移せる仕組みがあります。たとえば、iDeCoに参加している個人事業主や主婦が会社員になった場合、企業型確定拠出年金に資産を移動可能です。

しかし、転職・退職後に6ヶ月間何もしないと、国民年金基金連合会が資産を自動的に切り替えてしまいます。

自動切り替えになると、運用の変更ができません。手数料のみがかかる上に加入期間としてカウントされないため、受け取る年齢が遅くなる点にご注意ください。

<h3>メリット③運用が楽</h3>

1度スタートすれば、毎月お金が自動で引き落とされて投資に回っていくため、iDeCoは手間いらずといえます。

ただし、最初に選ぶ商品は注意深く決め、半年から1年ほどは保有資産をチェックして、必要ならリバランスすることがポイントです。

<リバランスとは>

値上がりしたものを売って、値下がりしたものを買うことで、ポートフォリオの配分を最初に考えた配分に戻すことを指します。

半年から1年という期間を設定して、その時点で値上がりしたものを売り、値下がりしたものを買うことをルール化すれば良いため、デイトレードなどに比べて手間がとても少ないです。

<h3>メリット④受け取り方を選択できる</h3>

IDeCoで積み立てたお金は、受け取り方を選択できます。受け取り方法は3種類で「一時金」「年金」「一時金と年金の組み合わせ」から自分に合った方法を選択します。

一時金の場合は、原則60歳に達してから75歳までの間に一括で受け取る方法です。年金の場合は、原則60歳に達してから5年以上20年以下の期間に分割し年金として受け取れます。

一時金と年金を組み合わせて受け取る場合は、まず一時金として一部を受け取り、残りを年金としてわけて受け取る方法です。

60歳になった時に、まとまったお金が必要かどうかで受け取り方を考えましょう。

<h2>iDeCoに向いていない人</h2>

iDeCoは税金の優遇が魅力的な制度ですが、収入や資産の管理方法、家庭の状況などによっては、iDeCoが合わない人もいます。

iDeCoの加入に向いていない人の特徴に関して、以下の5つの項目について解説します。

<ul>

<li>収入がない人のiDeCo利用はそこまで意味ない</li>

<li>貯金が少なめの人はやめたほうがいい</li>

<li>収入の変化が激しい個人事業主にはおすすめしない</li>

<li>今後大きな出費が予想される人も慎重に始めるべき</li>

<li>お金の管理にルーズな人はやめたほうがいい</li>

</ul>

上記に該当する場合は、慎重に考えた上でiDeCoを始めるか判断しましょう。

<h3>収入がない人のiDeCo利用はそこまで意味ない</h3>

iDeCoは掛金が所得控除の対象になり税金が安くなるメリットがあります。しかし、収入がない、または少ない方は、そもそも所得税を納めていない可能性があり、iDeCoに入っても税金の優遇を受けられません

<h3>貯金が少なめの人はやめたほうがいい</h3>

20代、30代の方は若いからこそ、投資に積極的になるべきだといわれています。しかし、貯金が少なめの方がiDeCoに参加すると、病気や結婚式などで急に現金が必要になっても、お金を出せません

20代、30代はもともと投資に適していますが、貯金が少なめの方は、貯金が充分になるまで待つことをおすすめします。

<h3>収入の変化が激しい個人事業主にはおすすめしない</h3>

転職や起業の直後は、収入が急変することがあります。必要なときに困らないよう、すぐに使える現金は常に用意しておくべきです。

iDeCoは途中で解約ができないため、転職や起業の後、収入が安定するまでは始めないほうがいいでしょう。

<h3>今後大きな出費が予想される人も慎重に始めるべき</h3>

子供の教育費が必要になる年齢の方は、住宅ローンの支払いと重なって、人生で一番出費が多くなる時期になるかもしれません。

さらに、親の介護費用や独立資金などの大きな出費が予想される方は、いざというときに資金が足りなくなる可能性があります。

iDeCoは掛金を継続的に支払えるうちから始めるのがおすすめです。

<h3>お金の管理にルーズな人はやめたほうがいい</h3>

お金の管理にルーズな方は、iDeCoの利用に適していません。iDeCoは掛金が引き落とされないと、その月の掛金は無効になり、資産管理手数料が資産から引かれてしまいます

資産管理手数料はそれほど高額ではありませんが、放っておくと毎月手数料が引かれて資産が少しずつ減ってしまいます。

もしiDeCoを利用する場合は、掛金引き落とし日に必ず口座にお金を残しておきましょう。

<h2>iDeCoに向いている人</h2>

iDeCoは引き落とせる時期や、節税効果など通常の貯金や株式などの資産運用と異なる特徴が多い資産運用方法です。

ここまでにiDeCoのメリットやデメリット、iDeCIが向かない人を紹介してきました。

では、iDeCoはどんな人が向いているのでしょうか?

iDeCoに向いている人を以下に4つのパターンに分けてご紹介します。

<ul>

<li>年金や退職金が減ってしまった公務員</li>

<li>そもそも所得が多いので節税したい人</li>

<li>運用する期間が長くなる若い人</li>

<li>貯金が苦手な人</li>

</ul>

上記に当てはまる人は、iDeCoの利用を前向きに検討することをおすすめします。

<h3>年金や退職金が減ってしまった公務員</h3>

年金や退職金が減ってしまった公務員はiDeCoの運用が向いています

公務員の年金は、2015年10月の法改正で公務員の年金制度だった共済年金がなくなり、会社員と同じ厚生年金へと変わりました。職域加算で優遇されていた共済年金がなくなり、年金払い退職給付を導入した結果、支給額が1割程度減ったのです。

また、退職金も年金と同様に会社員との格差を減らすために金額が年々減っています。

今後も公務員と会社員の格差を減らす動きが続くのならば、退職金も同様に減額されるでしょう。

そのため、対策として老後資金のために公務員にはiDeCoが向いています。

<h3>そもそも所得が多いので節税したい人</h3>

iDeCoは積み立てた掛け金の金額が所得控除となるので、所得税と住民税が節税されるからです。

また、iDecoの運用で生じた利益は非課税です。通常の金融資産から生じる利益では源泉分離課税の対象になるので、iDecoを運用すれば節税効果が期待できます。

さらに、iDecoを受け取る際も一時金で受け取る際は「退職所得控除」、年金で受け取る際は「公的年金等控除」としてみなされるので、受け取る際も節税効果が見込めます。

これらの節税効果より、所得が多い方は節税の恩恵が受けられるでしょう。

<h3>運用する期間が長くなる若い人</h3>

運用する年数が長くなる若い人はiDeCoに向いています。iDeCoを始めるのが早ければ早いほど長期間での運用を行えるので、複利効果を早く始めた分だけ活かせるからです。

複利効果とは、年率1%の利息が生まれるとして、2年目には元本と1年目の利息にも2年目の利息がかかります。すると、雪だるま式に資産を増やせるのです。

また、投資初心者にもおすすめな投資信託も長期投資と相性が良いとされています。長期的に積み立て投資をすれば、「ドルコスト平均法」と呼ばれリスクを減らしつつ利益を確保することも可能です。

<h3>貯金が苦手な人</h3>

iDeCoは月5,000円から積立が可能な資産形成法です。iDeCoを始めると原則60歳までは引き落としができないため、貯金が苦手な方にもおすすめです。

確実に老後の資産の貯金を目的にするなら、iDeCoを始めれば毎月自動的に決められた額の積立金がiDeCoに引き落とされるので、意識して貯金する必要がありません。

ただし、iDeCoは途中での引き落としができないので、マイホームの資金や車の購入など60歳より前に必要な資金の貯金には向きません。

iDeCoは、貯金が苦手で老後の資金のために貯金したい人に向いている方法といえます。

<h2>【iDeCo】月1万円の投資で老後資金はどれくらい貯まる?</h2>

iDeCoに月1万円で投資すると、老後資金はどれくらい貯まるのでしょうか。月1万円で年間12万円の投資は、「無駄だ」と思っている方がいるかもしれません。

しかし、意外と効果があるため、実際の数字を確認してみましょう。ここでは、3つのケースにおけるシミュレーションを紹介します。

<ul>

<li>【10年間】iDeCoで月1万円投資のシミュレーション</li>

<li>【20年間】iDeCoで毎月1万円投資のシミュレーション</li>

<li>【30年間】iDeCoで月1万円投資のシミュレーション</li>

</ul>

上記を参考にして、iDeCo開始後のイメージを具体化するのにお役立てください。

<h3>【10年間】iDeCoで月1万円投資のシミュレーション</h3>

iDeCoで月1万円投資を10年間続けたらどれくらいの金額が貯まるのでしょうか。実際に計算してみましょう。

年収500万円の55歳会社員が、運用利率3%で月1万円の投資を10年間した場合、老後に使える資金額は、1,397,414円です。積立金額が1,200,000円なので、197,414円の利益が出たということです。

iDeCoの資産作りの期間としては10年間は短めですが、1万円の毎月の積み立てでも、資産が増えることが分かります。もちろん、必ず利益が出るとはいえませんので、その点は注意してください。

<h3>【20年間】iDeCoで毎月1万円投資のシミュレーション</h3>

続いては、iDeCoで毎月1万円投資して20年間続けたらどれくらい貯まるのかを見てみましょう。

年収500万円の45歳のサラリーマンが、運用利率3%で毎月1万円を20年間投資したとします。すると、老後の資金として3,283,020円を用意できるのです。

積み立てた金額は2,400,000円なので、883,020円の利益が出ています。10年間の投資と比べると、利益は4倍以上にも及びます。

<h3>【30年間】iDeCoで月1万円投資のシミュレーション</h3>

最後に、iDeCoで月1万円投資を30年間続けたら、老後にどれくらいの金額が貯まるのでしょうか。シミュレーションの結果は以下のとおりです。

年収500万円の35歳会社員が、運用利率3%で月1万円を30年間積み立てたら、老後に使える資金は5,827,369円です。

積立金額が3,600,000円なので、2,227,369円の利益が出たということです。10年間積み立てた場合と比べると利益は11倍以上になり、20年間積み立てた場合と比べると利益は2.5倍以上に及びます。つまり、積立期間が長いほど、利益が大きくなるということです。

<h2>iDeCoを利用する際の注意点</h2>

iDeCoを利用する場合は、制度の特性で注意をしなければ損をしたり、思ったように制度を活用できなかったりする可能性があることが存在します。

iDeCoを利用する際の注意点は、以下の4つです。

<ul>

<li>加入条件や受け取れる年齢を確認しておく</li>

<li>運用をする機関によって商品が異なる</li>

<li>無職や専業主婦(夫)の場合は節税効果が薄い</li>

<li>受け取り方によって控除額が変わる</li>

</ul>

注意点についてあらかじめ理解しておけば、後悔を未然に防げるでしょう。

<h3>加入条件や受け取れる年齢を確認しておく</h3>

iDeCoを利用する際は、加入条件や受け取れる年齢などの条件を確認しましょう。

資産運用や節税などの面からiDeCoを始めようと考える方もいるはずです。しかし、iDeCoの加入には細かい決まりがあり、この条件をクリアしないと加入できません。

iDeCoは以前まで「60歳未満の方のみ」「海外移住の方は加入は不可」という加入条件でした。

2022年5月に「会社員・公務員等(国民年金第2號被保険者)で60歳以上65歳未満の方」「60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方」「国民年金に任意加入している海外以上の方」も加入条件が拡大され追加されました。

受け取れる年齢は、原則60歳以降からです。加入期間が10年に満たない場合は、受け取りが開始できる年齢が遅くなる可能性があります。また、加入者が高度障害者になった場合や死亡した場合などは60歳になっていなくても積み立てた資産を受け取れます。

60歳に近く、10年以上の運用ができない方は、加入前にいつから受け取れるか確認しましょう。

参考:厚生労働省「令和4(2022)年5月からiDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます」

<h3>運用をする機関によって商品が異なる</h3>

iDeCoは運用する機関によって選べる商品が異なります。

iDeCoを開設する機関によって取り扱っている商品が異なるからです。機関によっては独自の商品を用意している場合があるので、iDeCoを開設する前に希望する商品が開設しようとしている機関で取り扱っているかを確認しましょう。

また、機関によって手数料はさまざまです。iDeCoで資産を長期運用をする際の手数料の数%の違いは、将来的に見ると大きな額の差に発展します。検討している機関をいくつかピックアップして、それぞれをしっかりと比較して検討することをおすすめします。

<h3>無職や専業主婦(夫)の場合は節税効果が薄い</h3>

無職や専業主婦(夫)の場合は節税効果が薄い傾向にあります。iDeCoは節税校が大きな魅力の資産運用ですが、所得控除での節税効果があります。元より収入が少ない人の節税効果が薄くなるのは、所得控除の節税効果がないからです。

iDeCoでは掛け金が全額所得控除の対象になるので、収入がない場合は意味がありません。iDeCoは手数料が高くなることもあるので、収入がない人は注意が必要です。

収入がなくても、他の節税効果は得られるので、運用する際のシミュレーションを行い、検討するのをおすすめします。

<h3>受け取り方によって控除額が変わる</h3>

iDeCoには「一時金で受け取る」「年金で受け取る」「一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る」3つの受け取り方があり、それぞれで控除額が変わります

主に関わる要素は「退職金所得」「雑所得」の2つ。この2つとiDeCoの受給額が退職所得控除を上回る場合は、年金での受け取りがおすすめです。

一方で、退職金が少なく、退職所得控除で賄える場合は、一時金で受け取るのがおすすめです。

正確に算出して知りたい場合は、国税庁の公式サイトを参考にしてください。

参考:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

<h2>【参考】NISAとiDeCo(イデコ)の違いとは?</h2>

NISAとは、株式や投資信託などの資産運用で得た利益や配当金などが非課税になる制度です。iDeCoとは、自分自身で定期的に掛金を支払って、老後の年金を増やす制度です。

iDeCoとNISAは、次のような基本的な仕組みが異なります。

つみたてNISAiDeCo
運用商品株式ETF投資信託など投資信託定期預金保険商品など
商品の購入方法都度毎月積み立て
目的自由将来の年金

参考:一般社団法人 投資信託協会「NISAとiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の違い」

ここからは、以下の2つの項目について詳しく解説します。

<ul>

<li>投資開始に必要な金額は?どのくらいの期間投資できるの?</li>

<li>運用・拠出資金の出し入れは自分で決められる?</li>

</ul>

iDeCoとNISAの違いを知っておくことで、どちらを優先的に始めるか判断しやすくなるでしょう。併用するのもおすすめです。

投資開始に必要な金額は?どのくらいの期間投資できるの?</h3>

NISAは最低投資金額がゼロで、年間360万円以内なら非課税で投資が可能です。非課税期間は無期限で、毎年360万円投資すれば最高1,800万円まで非課税で投資できます。

iDeCoは、月に5,000円から1,000円単位で掛金を決められます。月ごとの掛金の上限は職種などによって月に1万2,000円~6万8,000円(年に14万4,000円~81万6,000円)で、金額は年に1回だけ変更可能です。投資期間は60歳までです。

<h3>運用・拠出資金の出し入れは自分で決められる?</h3>

NISAは運用している金融商品を好きなタイミングで売って、証券会社の口座などにお金を戻すことができます。しかし、iDeCoは60歳以上になるまでお金を引き出すことができません。

iDeCoは掛金の支払いをやめたり始めたりすることは可能ですが、お金を出すことは特別な場合を除いて原則不可となっています。

<h2>iDeCoに関するよくある質問</h2>

iDeCoについて不安が払拭しきれていない方は、以下のよくある質問と回答についてチェックしてみてください。

<ul>

<li>iDeCo(確定拠出年金)に入ると厚生年金が少なくなる?</li>

<li>iDeCoと国民年金基金の違いとは?</li>

<li>積立金の行方は死亡時にどうなる?</li>

</ul>

よくある質問への回答を事前に理解しておくことで、安心した状態でiDeCoを使い始められるでしょう。

<h3>iDeCo(確定拠出年金)に入ると厚生年金が少なくなる?</h3>

iDeCoに参加しても、厚生年金のもらえる金額は変わりません。iDeCoは給料から引かれるものではないので、厚生年金などの年金のもらえる金額には関係ありません。

したがって、iDeCoは厚生年金などの国の年金のもらえる金額を削ることなく、老後のお金を作ることができます

<h3>iDeCoと国民年金基金の違いとは?</h3>

国民年金基金は、自営業者などが対象の公的年金制度です。iDeCoは運用成果によって受給額が決まりますが、国民年金基金は受給額が固定されているのが最大の違いです。

<h3>積立金の行方は死亡時にどうなる?</h3>

iDeCoに加入していた方が亡くなったときは、積立金が死亡一時金となり本人が事前に決めていた受取人に渡されます。受取人が決まっていない場合は、最初に配偶者が相続します。

その次に、子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他の親族の順に、加入者の収入で暮らしていた人が相続するという仕組みです。

<h2>まとめ:iDeCoをやるべきか迷ったら専門家に相談しよう</h2>

この記事では、「iDeCoはやらないほうがいい」といわれる理由について徹底解説しました。

最近では年金制度の見直しや退職金の減額という2つの要因で、老後の生活が安定するとは限らない状況になっています。さらに、老後2,000万円問題が話題になったことで、自分の老後は大丈夫なのかと不安に感じている方も多いでしょう。

そんな中で、老後の資金を貯める方法として人気が高まっているのが「iDeCo(イデコ)」です。iDeCoを利用すれば、貯金をしながらも所得控除で税金を節約することができます。

iDeCoを利用すればかなりのメリットがありますので、内容を理解した上でiDeCoに加入することを検討してみてください。迷ってしまう場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも手段のひとつです。

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