私的年金制度のひとつである個人型確定拠出年金iDeCoは知ってる人も多いでしょう。
老後の資金づくりために利用しようと検討している人もいるのではないでしょうか。
本記事では、iDeCoにかかる手数料の詳細や手数料負けしてしまう具体例も徹底解説します。
手数料負けしないためにすべきことも分かりやすく紹介しますので、取り入れてみると良いでしょう。
この記事を読めば、iDeCoで手数料負けして損するケースを防ぎながら老後の資金づくりができます。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてみてください。
iDeCoの運用には手数料が必要!
資産運用として注目されているiDeCoですが、運用にはさまざまな手数料が必要です。
以下で詳しく手数料の種類を紹介します。
- 加入者手数料
- 事務委託手数料
- 加入・移換時手数料
- 口座管理手数料
- 信託報酬
- 給付手数料
- 還付手数料
加入者手数料
iDeCoには加入者手数料として105円が必要です。
月払いの場合は12ヶ月分必要なので年間1,260円ですが、年払いの場合は105円のみです。
年単位拠出を利用すれば、その分加入者手数料を減らせるので、できれば年払いが望ましいでしょう。
事務委託手数料
iDeCo加入には事務委託手数料がかかります。
事務委託手数料は、運用している間に毎月かかってしまう手数料で、信託銀行に対し66円程度かかります。年間で約800円と覚えておきましょう。
毎月額はそんなに高くなく、気にならない人も多いですが、掛け金が低ければ掛け金に対する比率は高くなるので注意が必要です。
加入・移換時手数料
iDeCoには加入のときや企業型確定拠出年金から移換するときに手数料が必要です。これは初回手続き時に必要で、どの金融機関を選んでも2,829円です。
これは必ずかかる費用かつ金融機関を選ぶ必要がないので、必要経費と思っておいて大丈夫です。
しかし、すでに加入しており、移換する場合は移換時のみ無料の金融機関もあるので、チェックしておくと良いでしょう。
口座管理手数料
iDeCoには口座管理手数料がかかります。口座管理手数料も運用している間に毎月かかるので注意が必要です。
金融機関によっては無料のところもあり、手数料を抑えられる場合があります。相場は毎月0円〜450円と考えておくと良いでしょう。
相場に大きな差があり、毎月かかる費用なので、特に気をつけて比較する必要があります。
信託報酬
iDeCoに限らず投資信託に全てかかるのが信託報酬といわれる手数料の一種です。
投資信託の運用や管理に支払う報酬で、保有する投資信託から毎日一定率分を差し引かれます。
信託報酬は運用する投資信託によって変わるので、チェックしておきましょう。毎日差し引かれるため、シュミレーションした場合に参考にすることがおすすめです。
給付手数料
給付手数料とは、60歳以降にiDeCoで運用した資金を受け取る場合にかかる手数料です。資金を1回受け取るごとに440円かかります。
給付手数料は受け取りの話なので、まだ先の人が多いですが、受け取るごとに必要なため、受け取る回数を減らすと単純に手数料の負担が減らせます。
年に1〜6回自由に受け取り回数を決められる金融機関が多いため、将来受け取る際に少なくできるように覚えておきましょう。
還付手数料
iDeCoは還付手数料がかかります。
還付手数料とは、掛金が還付されたときに発生する手数料のことです。
還付金が発生するのは以下のとおりです。
- 国民年金保険が未納であるのに拠出されていた
- 拠出限度額を超える掛金が拠出されていた
- iDeCoの加入資格がない人が拠出していた
還付手数料は、還付が発生する度に国民年金基金連合会に支払う1,048円と、信託銀行に支払う440円の合計1,488円が差し引かれます。
年間にすると大きな金額となってしまうので、還付金が発生しないように気をつける必要があります。
iDeCoで手数料負けしてしまう場合とは?
ここからは、iDeCoで手数料負けしてしまう場合を紹介します。
さまざまな要因が重なり手数料負けしてしまう場合がありますので、工夫をしながら掛け金の決定や金融機関を選ぶ必要があります。
- 所得と掛け金のバランスが悪い
- 手数料が割高の金融機関を選んでしまっている
- 利回りの悪い商品を選んでしまっている
所得と掛け金のバランスが悪い
所得と掛け金のバランスが悪いと手数料負けしてしまう場合があります。
iDeCoで積み立てた掛け金は全額が所得控除の対象になり、節税効果がありますが、掛け金が少なすぎると注意が必要です。
掛け金が少ないと節税できる金額より手数料で支払う金額が上回ってしまう場合があります。
例えば、月払い5,000円の掛け金の場合、加入者手数料105円支払うと掛け金の2.1%に対し、月払い10,000円の場合は、加入者手数料の105円の割合は1.05%です。
所得と掛け金から節税できる金額や手数料の比率を割り出して、バランスの良い掛け金を設定しましょう。
手数料が割高の金融機関を選んでしまっている
手数料が割高の金融機関を選んでしまっているケースがあります。
手数料はそれぞれ金融機関によって違い、それを見落とすと大きな差になるため必ずチェックしておきましょう。
加入時手数料などどの金融機関も一定のものもありますが、口座管理手数料など手数料が金融機関によって違うものがあり、積み重なって手数料負けしてしまいます。
手数料を各金融機関でしっかりと洗い出し、手数料の合計が少ない金融機関を選びましょう。
利回りの悪い商品を選んでしまっている
利回りの悪い商品を選んでしまっている場合があります。利回りは運用額や運用する年数によっても影響を受けるため、シュミレーションを利用すると確実です。
例えば、毎月10,000円を30年運用した場合の運用利益は以下のとおりです。
利回り
運用利益
1%
596,282円
3%
2,227,369円
iDeCoは投資の一種なので運用利回りが大きければ、利益は大きくなり、その差は歴然です。
利回りが低いと感じた場合は、商品ごとに運用利回りを確認し運用先を変更するのも視野に入れると良いでしょう。
手数料負けをしないためにするべきこと
ここでは、iDeCoで手数料負けしないためにすべきことを紹介します。できるだけかかるコストを減らし、賢く利用しましょう。
- 口座管理手数料が安い金融機関を選ぶ
- 年払いにして加入者手数料を抑える
- 掛け金を小額にしない
口座管理手数料が安い金融機関を選ぶ
口座管理手数料が安い金融機関を選びましょう。口座管理手数料は、金融機関によって金額が異なります。
毎月支払う手数料なので、ここで抑えるだけでも大きな差になるので気を付けましょう。
口座管理手数料が無料の金融機関をチェックすると良いです。
年払いにして加入者手数料を抑える
掛け金を年払いにして加入者手数料を抑えると手数料負けを防げます。
iDeCoでは、掛金を拠出する都度、国民年金基金連合会に105円を支払う必要があります。
月払いの場合、年間で1,260円の費用がかかりますが、年払いにすることでこの費用を11回分抑えられます。
掛け金を小額にしない
掛け金を小額にしないことで手数料負けを防げます。
掛け金を小額にすることで利回りが減ってしまい、せっかく増えた利回りが手数料より下回ってしまうからです。
掛け金を増やせばその分利回りも増え、安定して手数料より多い利回りが得られて資産額を増やます。
無理をしないことが大切ですが、できるだけ掛け金は小額にしないことを心がけましょう。
まとめ:将来のためにも手数料は要注意
本記事ではiDeCoで手数料負けしてしまう原因や対策を紹介しました。
お金を増やすことが目的であるのにも関わらず、利益より手数料が上回ってしまっては意味がありません。
iDeCoは将来の老後生活に向けて非課税で投資できる有益な商品です。注意点を理解し、ぜひ、将来に向けて投資を始めましょう。