保険料払込免除特約はデメリットばかり?必要性と特約を付加させたい人の特徴

「保険料払込免除特約ってデメリットはあるの?」

上記のような疑問を抱えている方はいませんか?

保険料払込免除特約は、被保険者が一定の状態になった場合に、その後の保険料の払込が免除される特約です。万が一の際に保険料負担がゼロになるメリットがありますが、一方で事前に知っておきたいデメリットもあります。

本記事では保険料払込免除特約の概要や付帯できる保険の種類、デメリット・注意点、特約の必要性や付加するべき人の特徴などをご紹介します。本記事を読めば、保険料払込免除特約のデメリットや、自分の保険契約に付帯させるべきかが判断できるでしょう。

目次

保険料払込免除特約とは

保険料払込免除特約は名前のとおり、「被保険者が一定の状態になったときに以降の保険料支払いが免除される特約です。

保険料払込免除がない保険契約の場合、被保険者が重大な病気に罹患したり大けがをしたりした場合でも、保険料の支払いは継続する必要があります。保険料を支払う「契約者」と被保険者が同一人物である場合、病気やケガで働けなくなることで保険料が払えなくなるリスクがあります。

保険料払込免除特約を付加することで、万が一の際の保険料支払いの負担を回避でき、保障を継続して受けられます。

保険料払込免除特約が付けられる保険の種類

保険料払込免除特約を付加できる保険にはさまざまな種類がありますが、主に以下のとおりです。

  • 終身医療保険
  • 収入保障保険
  • 学資保険
  • 終身保険
  • 定期保険
  • がん保険
  • 介護保険 など

終身医療保険で保険料払込免除になった場合、その後は保険料の負担なしで一生涯の保障が得られます。また、学資保険では契約者である親に万が一のことがあった場合は保険料の払込が免除され、契約通りのタイミングで満期学資金や祝金を受け取れます。

保険料払込免除特約の条件

同じ「保険料払込免除特約」という名前の特約だとしても、適用される条件は保険の種類や保険会社によってさまざまです。

保険料払込免除特約が適用される主なケースは以下のとおりです。

三大疾病に罹患した場合

三大疾病(がん、心筋梗塞、脳卒中)に罹患した場合に、以降の保険料の払込が免除されるパターンです。三大疾病は入院期間や治療期間が長期化することが多く、収入減少や医療費負担の増加が家計に影響することになります。

三大疾病のどれに罹患しても保険料が免除になることで、保険料負担なく安心して保障を継続できるでしょう。

ただし、後述する「がん保険料払込免除」と比較すると免除される範囲が広いメリットがある分、保険料が割高になります。

がんに罹患した場合

医師によって「がんである」と診断確定を受けた場合に保険料の払込が免除される特約です。

がんには「上皮内新生物」という早期のがんもありますが、上皮内新生物と診断された場合に保険料が免除になるかは、保険会社や保険商品ごとに異なります。

就労不能状態になった場合

被保険者が病気やケガなどによって働くことができなくなった場合に、保険料の払込が免除されます。

就労不能状態ではそれまで働いていた会社を休職したり退職したりする必要があり、収入が頬幅にダウンします。保険料の支払いができなくなることも少なくありませんが、保険料払込免除特約を付帯していれば保険料の不安なく保障を継続できます。

その他の場合

生命保険会社や保険商品によっては、前述した内容とは全く異なる条件で保険料払込が免除になる特約もあります。

  • 保険会社所定の要介護状態になったとき
  • 障害状態になったとき
  • 肝硬変や糖尿病に罹患したとき など

保険料払込免除特約にデメリット・注意点はある?

保険料払込免除特約には万が一の際に保険料の負担がなくなるという大きなメリットがありますが、一方でデメリットに感じることもあります。メリットとデメリットの両方を把握したうえで、保険に付加するかを決めることが大切です。

ここでは保険料払込免除特約のデメリット・注意点として以下の7つをご紹介します。

  • 保険料が高額になってしまうことがある
  • 適用条件は保険ごとに異なる
  • 条件がシンプルでなく分かりにくいことがある
  • 契約後に特約を外せないことがある
  • 特約を使わずに保険契約が終了することもある
  • 契約期間が短いと無駄になりやすい
  • 保険料払込免除特約を付加するには健康状態の告知が必要

保険料が高額になってしまうことがある

保険料払込免除特約を医療保険や収入保障保険に付加する際、まったく無料でつけられるわけではありません。

保険料払込免除特約を付加した分だけ保険料が上がります。

例えば「がん保険料払込免除特約」の場合。高齢になるほどがんに罹患する可能性が高くなることから、年齢を重ねるほど特約保険料が高くなる傾向にあります。

特約を付加する保険自体の保険料が低額であれば特約保険料がプラスされてもさほど影響はないかもしれませんが、元の保険も特約保険料も高額では毎月かなりの金銭的負担が発生します。

適用条件は保険ごとに異なる

同じ保険会社の保険でも、商品の種類によって保険料の払込が免除される適用条件が異なる可能性があるので注意が必要です。

例えば同じ「三大疾病保険料払込免除特約」でも、以下のように適用範囲が異なる場合があります。

商品A:がん・急性心筋梗塞、脳卒中など所定の状態になった場合に保険料の払込が免除

商品B:がん、心疾患・脳血管疾患など所定の状態になった場合に保険料の払込が免除

上記の例では商品Aよりも商品Bのほうが、脳と心臓の病気に関して適用条件が広くなっていることが分かるでしょう。

保険料払込免除特約の付加をする前に、「どの状態になれば保険料の払込が免除されるか」の条件は必ず確認しておきましょう。

条件がシンプルでなく分かりにくいことがある

保険によって保険料払込免除特約が適用される条件は異なり、保険商品や保険会社によって免除になる条件が複雑な場合があります。

例えば保険料の払込が免除になる条件に「がんに罹患したとき」と書かれていても、比較的軽い治療で済む上皮内新生物まで対象に含まれているかは、特約の詳細をしっかり確認してみないとわかりません。なかには上皮内新生物では対象外の特約もあります。

特約を付加するまえに、どうすれば保険料が免除になるか、その条件を確認してご自身の希望に合うものを探す必要があります。

契約後に特約を外せないことがある

保険に付加する特約は、不要になったときに外せるものも多くあります。一方、保険料払込免除特約に関してはその性質上、契約後に特約だけを解約できないケースがあります。

あとから解約できるのか、できないのかは特約を付加する前に事前に確認が必要です。途中から解約できない場合、特約を付加することで保険料の負担が大きくなっても毎月支払っていけるかは事前に家計のシミュレーションをしておきたいところです。

特約を使わずに保険契約が終了することもある

せっかく特約を保険に付加しても、全く使わないまま保険契約が終了することがあります。

例えば終身医療保険で保険料払込免除特約を付加していて、被保険者が亡くなってしまったケース。

万が一のために付加した特約なので損得だけで評価することはできませんが、保険料を払い続けて見返りが全くないのは、無駄に感じる方も多いでしょう。

契約期間が短いと無駄になりやすい

保険料払込免除特約は、保険会社が指定する病気やけがの状態になって初めて保険料の払込が免除されます。

契約期間が短い保険では、その短期間で就労不能状態や特定の病気に罹患する可能性が低いです。保険料払込免除特約の保険料を上乗せして支払っても免除にならないまま契約が終了する可能性があります。

保険料払込期間が短い保険も同様です。がんになる確率が高まる年齢まで保険払込期間を終了してしまうと、免除特約は無駄になってしまうでしょう。

保険料払込免除特約を付加するには健康状態の告知が必要

保険料払込免除特約を付加する場合、申し込んだだけですぐに付加されるわけではありません。

特約の付加には健康状態の告知が必要であり、告知義務違反に該当する場合には保険料払込免除特約も解除されます。

保険料払込免除特約をつける前に確認しておきたいポイント

保険料払込免除特約は万が一の場合に保険料の払込が免除になるメリットがある反面、デメリットもあることは解説したとおりです。

ここでは、保険料払込免除特約が必要か不要かを判断するために確認したいポイントを紹介します。

  • 保険料払込免除特約をつけたい保険の保険料
  • 保険料払込免除特約の保険料
  • 保険料払込期間

保険料払込免除特約をつけたい保険の保険料

保険料払込免除特約を付加するか迷うときは、特約を付加する保険の保険料をチェックしましょう。

保険の保険料が1,000円~2,000円といった少額なら、特約の保険料がプラスされても毎月問題なく支払えるでしょう。

一方、もとの保険の保険料が10,000円のような高額の場合、特約を付加して更に保険料が高くなると支払えなくなる可能性もあります。

保険料払込免除特約の保険料

保険料払込免除特約は無料ではなく、付加することで毎月の保険料の金額が高くなるデメリットがあります。「特約を付加することで何円の保険料を負担することになるか」は確実に把握しておきましょう。

特約の保険料だけで「支払えるか、支払えないか」を考えるのではなく、もとの保険の保険料も含めて考えることが大切です。

保険料払込期間

保険料払込免除特約を付加するか決める際は、保険料をいつまで支払い続けるのか「保険料払込期間」を確認しましょう。

がんなどの三大疾病や生活習慣病に罹患するリスクは若者でも当然ありますが、一般的には中高年以降に罹患する可能性が高いです。

保険料払込期間が短く、高齢になる前に払込が終了すると、そのあとに所定の病気になっても保険料払込免除特約の恩恵は受けられません。

保険料払込免除特約が本当に必要かは保険商品ごとに異なる場合がある

保険料払込免除特約を付加したほうが良いのか、不要なのかは、契約する保険の種類によって変わることもあります。

ここでは「収入保障保険」「終身医療保険」にわけて、保険料払込免除特約の必要性について解説します。

収入保障保険には必要性が高い

収入保障保険とは、被保険者が死亡した場合に、遺族に対して毎月一定の金額が年金として支払われる死亡保険の一種です。

一般的に保険料払込期間が60~70歳で完了することもあり、多くの場合で三大疾病に罹患する可能性が高くなる年齢に達するまでに保険料の払込が完了します。

払込期間が終身でないことから保険料払込免除特約の必要性は高いとはいえませんが、その分だけ特約保険料が割安の傾向にあります。

月数百円前後でおさまることが一般的で、収入保障保険の保険料に特約の保険料を足してもさほど大きな負担にはなりません。万が一の際に金銭的負担を減らしたいなら、付加する価値はあるでしょう。

終身医療保険は短期払いと終身払いで判断が異なる

終身医療保険も保険料払込免除特約を付加できる代表的な保険ですが、付加するべきかどうかは保険料払込期間によって異なるので注意が必要です。

まず、保険料払込期間が「60歳払済」など一定の年齢までに保険料の支払が終了する契約の場合。

あくまでも確率論ではありますが、保険料の支払いが終わるまでに三大疾病など払込免除の条件に該当する病気に罹患する可能性は低いです。若くして三大疾病に罹患するリスクを回避したい方は保険料払込免除特約を付加しても良いですが、特約が有効な期間が短いことから無理に付加させる必要はありません。

一方、保険料の払込期間が終身の場合。高齢になったあとも保険料の支払いが続くことから、払込免除の条件を満たせる可能性が高くなります。

ただし、保険料払込免除特約を利用する可能性が高い分だけ特約の保険料が割高になります。特約の有効性が高い反面、終身で割高な特約保険料を支払っていけるのかは事前にシミュレーションしておくべきでしょう。

保険料払込免除特約を付加すべき人の特徴

保険料払込免除特約はデメリット・注意点こそありますが、特定条件を満たすことで保険料の支払いが免除されるというのは大きなメリットです。

これから紹介する特徴に該当する方は、保険料払込免除特約を付加することをおすすめします。

  • 終身保険に加入している人
  • 自身が働けない場合に収入源がない人
  • 大きな病気になったときに安心していたい人
  • 子どもや妻がいる家庭
  • 住宅ローンを支払っている家庭

終身保険に加入している人

同じ死亡保険でも、定期保険に加入している方よりも終身保険に加入している方のほうが保険料払込免除特約の必要性が高いです。

例えば定期保険の契約が60歳で満了になる場合、保険料払込免除特約を仮に付けられたとしても、期間中に特約を使用するような病気になるリスクは低いです。

一方の終身保険で保険料を一生涯払い続ける場合、高齢になるほどがんや脳卒中などに罹患するリスクが高いことから、特約を使用できる可能性も高くなります。

終身保険で保険料の支払いを終身にしている方は保険料払込免除特約の付加を検討してみましょう。

自身が働けない場合に収入源がない人

片働きの夫婦など、ご自身が働けなくなった場合に収入源が途絶えてしまう方は、保険料払込免除特約を付加する必要性が高いです。

働けなくなることで収入がなくなると、保険料の支払いどころか日常生活を送るための家賃の支払いや食費の確保だけで精いっぱいという状況になることがあります。

収入が途絶えても保険契約を継続するためにも、保険料払込免除特約を活用しましょう。

大きな病気になったときに安心していたい人

三大疾病や就労不能状態などになってしまった場合、治療が終わるまでにどのくらいの費用がかかるかは全く分かりません。治療費や入院期間、逸失収入(働けないことで得る機会を失う収入)の金額は人それぞれであるためです。

金銭的な不安から治療に集中できないと、ますます完治が遠のくことが予想されます。先行きに不安を感じるタイミングで保険料の払込が免除になれば、安心して治療を続けるキッカケになるかもしれません。

万が一のときに少しでも安心して治療に臨みたい気持ちが強い方は、保険料払込免除特約を付加させると良いでしょう。

子どもや妻がいる家庭

子どもや妻といった被扶養者がいる家庭の場合、保険料払込免除特約の必要性は高いです。

例えば大黒柱の夫が三大疾病のいずれかに罹患してしまった場合。治療が長期化すれば病気の治療費や日常生活の出費などが発生し、働けなくなったり働ける時間が短くなったりすることで家計を圧迫することになります。

独身と違って扶養者がいれば食費や家賃、教育費用などは病気をしていても支払っていかなければいけません。

家計が厳しいなかで保険料を負担することは大変であり、せっかく契約した保険を解約しなければいけない状況に陥る可能性もあります。

保険料払込免除特約を付加することで家計の負担を少しでも減らすことが可能になるため、扶養するべき妻や子どもが多い世帯では特約の付加を検討すると良いでしょう。

住宅ローンを支払っている家庭

住宅ローンを支払っているケースでも、保険料払込免除特約のメリットは大きいです。

病気になってしまった場合でも、住宅ローンの返済は継続して必要になることがあります。「3大疾病付機構団信」など、三大疾病など特定の要件に該当した場合に住宅ローンが免除される団体信用生命保険もありますが、住宅ローンを契約している全員がその団信に契約できているわけではありません。

病気やケガが原因で住宅ローンを返済できない状態になると住居を売却して返済することになるかもしれません。

万が一のときに少しでも家計の負担を減らすためにも、保険料払込免除特約を契約することは必須といえるでしょう。

保険料払込免除特約を付加するべき年齢

保険料払込免除特約はどの年代の方が保険に付加しても良い特約ですが、特に以下の2つの年代の方は付加することをおすすめします。

  • 20代~30代の女性の方
  • 60代以上の高齢者の方

20代~30代の女性の方

がんに罹患する確率は、基本的に高齢になるほど高くなります。一方、女性特有の乳がんや子宮頚がんの場合、ほかのがんに比べて20~30代の若いときから罹患する可能性が高いです。

若いときに乳がんや子宮頸がんに罹患した場合でも、保険料払込期間が終身ではずっと支払いが続くことになります。

若いときにがんに罹患するリスクを考えると、保険料払込免除特約の必要性は高いといえるでしょう。

60代以上の高齢者の方

60歳以上の高齢者になると、がんに罹患する可能性が高まります。厚生労働省の資料によれば、60代以上の死亡要因の大半が三大疾病で占められています。

第1位第2位第3位
60~64歳悪性新生物〈腫瘍〉心疾患脳血管疾患
65~69歳悪性新生物〈腫瘍〉心疾患脳血管疾患
70~74歳悪性新生物〈腫瘍〉心疾患脳血管疾患
75~79歳悪性新生物〈腫瘍〉心疾患脳血管疾患
80~84歳悪性新生物〈腫瘍〉心疾患脳血管疾患
85~89歳悪性新生物〈腫瘍〉心疾患老衰
90~94歳老衰心疾患悪性新生物〈腫瘍
95~99歳老衰心疾患悪性新生物〈腫瘍
100歳以上老衰心疾患脳血管疾患

出典:厚生労働省|令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況

高齢になってから加入するとがん保険の保険料は割高な設定です。60歳以上の方が医療保険などに加入する場合は、保険料払込免除特約をつけておくことで万が一の際は保険料を抑えられます。

保険に付加させる前に保険料払込免除特約のメリット・デメリットを把握しよう

保険料払込免除特約は、三大疾病や就労不能状態など事前に設定された条件に該当することで以後の保険料の払込が免除になる特約です。万が一の際の保険料負担を抑えられるメリットがある一方で、特約の保険料が上乗せになることや、特約を使わないまま保険契約が終了する可能性があるなどデメリットや注意点もあります。

保険料払込免除特約をつけるべきか迷ったときはメリット・デメリットを考慮したうえで、加入を検討している保険の保険料や契約期間、特約の保険料など、さまざまな視点から必要性を冷静に考えていきましょう。

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